こんばんは、塾代表の大西です
先日、本の関係のお仕事をされている方に取材をしたときに、「ああ、そうだな」と思うお話を伺いました。
それは、
「本は、今の自分に合わせて選ぶもの」
というお話。
内容がどうか、ということももちろんあるのですが、インテリアのように、ファッションのように、本を選んでみる。
ということを、本をたくさん読んでいる人は自然にやっているかもしれません。
たとえばファッションだったら、「今日は気分スッキリ、爽やかな白のシャツにしよう!」とか「黒をメインにシックに大人っぽく決めよう」とか、「パンチのあるイラストのTシャツで元気に行こう!」というふうに考えることが多いと思います。
この考え方を、本を選ぶときにも取り入れるんです。
旅先で読むなら、学校や会社といった日常的な舞台の小説よりも、外国の小説や、行ったことのないような地が舞台になっている小説にしてみるとか。
ちょっと大人な気分で夜、コーヒーなんかを飲みながらゆっくり読むなら、ジャズの本や村上春樹とか?
私も思い返してみると、本を読んだ記憶というのは、シーンと一緒に思い出されることがとても多いです。
シーンと一緒に思い出せる本というのは、きっとその本が、そのシーンに合っていたんだと思うんですね。
子どもの頃、私は風邪をひいて寝込むことが結構多かったのですが、そんなときには必ず「クレヨン王国」シリーズを読んでいた気がします。
児童向けファンタジー小説ですが、ドキドキ感はあっても、すごくハイテンションになるような展開ではなく、風景や心理描写がとても優しく、落ち着いた気持ちで、でもわくわくしながら読めたんですね。
だから風邪でつらくても、布団の中でなんだか楽しく過ごせていた気がします。
中学生の頃は、家族旅行で行った長野の高原のペンションで、川のせせらぎを聞きながら、原田康子さんの『輪唱』を読んだことが思い出されます。
『輪唱 (角川文庫 緑 249-2)/角川書店
¥409
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ちょうど、気持ちが大人っぽくなってきた時期にこの本に出会って、家族旅行でもそんなにキャッキャとはしゃぐ気分ではなくて、涼しいところでひとりで静かに読書したいな~という気分だったんですね。
それで、この大人の恋の本、それもちゃらちゃらした感じではなく、登場人物たちがみな大人っぽく、かつどことなく憂いを帯びて描かれる恋の本を選んだわけです。
このチョイスは当時、堀辰雄の『風立ちぬ』を読んだ直後で、それも影響しています。なんとなく似ている小説です。
この本、早く大人になりたい、大人の恋がしたい思春期の女の子には超絶オススメです。
あと、大人になってからの思い出で言うと、海外に出張に行くときにはあえて海外の児童文学から『飛ぶ教室』(エーリッヒ・ケストナー)を読み返してみたり、思いっきり非日常ということで村上龍の『イビサ』を読んだり……というのを覚えています。
他にもいろいろ、どこで読んで、そのときどんな心境だったかというのが思い出せる本がたくさんあります。
皆さんは今、どんな気分ですか?
どこで本を読みますか? どんなタイミングで本を読みますか?
そのシーンに合わせて、オシャレするように本を選んでみてはいかがでしょう。
内容や評判の良い悪いではなく、今の自分に合うかどうか。そういう見方で本を選んでいくと、素敵な出会いがありそうです☆