オトナも間違えやすい慣用句の“てにをは” | 無料塾「中野よもぎ塾」のブログ

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6月29日(日)の授業で生徒たちとサポーターみんなで挑戦した、「てにをは」クイズです!

「てにをは」とは、「助詞」のことです。
授業では、品詞についても少し話をしましたが、この「助詞」を間違えているオトナ、結構多いのですよ。。。
それどころか、「てにをは」のことを「てにおは」と書いている人も多いです。
細かいようでも、こういうところが間違っていると「この人、仕事大丈夫かな……?」と相手を不安にさせてしまいますので、気を付けたいものです!

それでは問題を出しましょう。
皆さん、□の部分に入る助詞を、ひとつ書き入れてください。

(1)逃がした魚□大きい。

(2)あの人は、役員にも顔□利くらしい。

(3)藁□もすがる思いで、彼に電話をかけた。

(4)藁□もつかむ思いで、母に聞いてみた。

(5)彼は父親の威光を笠□着て、好き勝手にふるまう。

(6)今日は1日中、上□下への大騒ぎだった。

(7)いやが応□も、その命令には従わなくてはならない。

(8)いやが上□も、期待が高まる。

(9)そんな、濡れ手□粟のようなウマい話が信用できるだろうか。

(10)憎まれっ子世□はばかる、とはまさに彼女のことだ。



特にオトナでも間違えている人が多いのは、(3)と(4)、(6)、(9)あたりでしょうか。

では答えを発表します!

(1)は (2)が (3)に
(4)を (5)に (6)を
(7)で (8)に (9)で
(10)に

(3)と(4)の「藁にもすがる」「藁をもつかむ」は、これを混同して「藁をもすがる」と言ってしまうケースをよく見かけます。これがドラマやバラエティなどテレビ番組でも、よく耳にするんです。
これは間の「も」を取って考えてみればわかりやすいです。
「すがる」なら、「藁に」となりますね。「つかむ」なら「藁を」としたほうが自然につながります。「藁をすがる」「藁につかむ」と言うと、違和感がありますよね。

(6)の「上を下への大騒ぎ」というのは、「上へ下へ」「上や下へ」と間違えているケースが多いです。
この慣用句は、「上のものを下にし、下のものを上にする」というところから来ていて、混乱ぶりや入り乱れた様子を表しています。「上や下に行く」ということではなく、バタバタとものを入れ替える様子を表しているので、ここでは「上を下へ」が正解となるのです。

(7)と(8)も混同しやすいかもしれませんが、これは出だしの「いや」の部分に漢字を当てると、実は違う漢字が当てはまります。
「否(いや)が応でも」
「弥(いや)が上にも」
となるのです。
「否が応でも」は、否=No/応=Yesという意味で、「NoだろうとYesだろうと」ということになります。何が何でも、という感じです。
「弥が上にも」のほうの「弥」は、「状態がだんだんはなはだしくなる様子」を表しています。
それを踏まえると、「ただでさえはなはだしい状態なのに、その上に~」という慣用句であることがわかります。

(9)の「濡れ手で粟」は、「濡れ手に粟」と間違えているケースが多いです。
これは、濡れた手で粟をつかむと、手に粟粒がたくさんくっついてたくさんつかめるということから来る慣用句で、意味は「苦労せずに多くの利益を得ること」。
間違えやすい理由は、「手で粟をつかむ」という動作よりも、「手に粟がくっつく」という結果のほうがイメージしやすいからだと思います。
しかし、本来「粟」の後に続くのは「つかむ」という動詞ですから、「濡れ手で」(で=“~を使って”という意味の助詞)を入れるのが正解になるのです。


さて皆さん、全問正解できたでしょうか?