「詩ってすごいな」と思わされた1冊 | 無料塾「中野よもぎ塾」のブログ

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こんばんは、塾代表の大西ですニコニコ

今夜はまたまた、本の紹介です。

私が中学生の頃に出会った本、茨木のり子さんの『詩のこころを読む』(岩波ジュニア新書)。

詩のこころを読む (岩波ジュニア新書)/岩波書店

¥929
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これは私が生まれる1年前に発売されたものなのですが、発売から十数年後、中学生の私が手に取り、何度も何度も読み返してしまった1冊です。

この本のなにがいい、というのは置いておきます。
あえていうなら、好きな詩がいくつか見つかり、それらが私の大事な財産になったということです。

たとえば、黒田三郎さんの『小さなユリと』という詩集から紹介されていた、「夕方の三十分」という詩。
父親っ子だった私には、この詩に描かれた、お父さんと小さな女の子との何気ない時間がとても美しいものに思え、反抗期で父親につい当たってしまう自分を少し悲しく思ったりしたものでした。
「お父さんが私のことを好きなのはわかってるから!! 私も好きだから!」
とこの詩を読んで思ったものの、それを言葉や態度には出せないんですよね……。

それから、新川和江さんの詩集 『比喩ではなく』から紹介されていた、「ふゆのさくら」。
ここに出てくる「われなべにとじぶた」という言葉がなんだかとても気になって、
「私もわれなべにとじぶたで誰かと結婚して、すぐぬかみそ臭くなるのかなぁ、それってそんなに嫌なことなのかなぁ」
なんてとりとめもなく考えたりしたものでした。
今となっては、もう少しオトナな詩だとわかるのですが。

また、石垣りんさんの詩を読んで、それまでは「月や星や花、夕焼けなんかについて書くのが詩だ」と思っていたのが180度ひっくり返され、こんな当たり前な目の前のことを力強く書けるとは、どんな魔法なんだと思ったりもしました。
そして、石垣りんさんの詩は今読むと、さらに力強さが倍増して伝わってきます。


思えば、この本をきっかけにいろいろな詩集を読むようになったことが、今の私を作り上げている1つの「点」だったのかもしれません。
小学生の頃から本を読むのは私にとっては日常的なことだったのですが、その中でも特別な印象として残っている本で、言葉ってなんて面白いんだろうと思わせてくれたのがこれなのです。
そして今、言葉を使う職業についているわけですから……。

まぁ、今でも言葉をうまく使いこなせているとはとうてい言えない未熟者ではあるのですが。