〜番外編・妻との出会い⑩〜

 

 

※本日の記事は、番外編①〜⑨の続きですので、

まだ読まれていない方は、

ぜひ先に、2-8(←リンク・番外編①) からご覧ください。

 

 

 

それは…

 

 

2012年12月の 名古屋で、

冬至からまだ数日しか経っていない、

芯まで冷えるような 寒い夜のことでした。

 

 

僕は、

ある方に お会いするために、

香港から 名古屋を 訪れていました。

 

 

その方は、

中埜又左エ門和英 さん。

(なかのまたざえもんかずひで)

 

 

ミツカン創業家の 8代目のご当主で、

ミツカンの オーナー 兼 代表取締役。

 

 

そして、

僕のプロポーズを 受け入れてくれた、

聖子さんの お父様でした。

 

 

僕は、

バーのテーブルで、

又左エ門和英さんの横に座り、

 

 

又左エ門和英さんが、

口を開かれるのを、 

じっと待っていました。

 

 

初めて2人だけでお話する 

この場に臨むにあたって、

僕は 次のように決めていました。

 

 

 

今夜の目的は、

又左エ門和英さんの ご質問の すべてに、

僕が、真摯にお答えすることである。

 

 

人生のご経験が豊富な方であり、

深いお考えをお持ちのはずなので、

僕から話題を振るべきではない。

 

 

とにかく、

お話になるまで、

お待ちしていよう。

 

 

 

その一方で、僕は、

このようにも決めていました。

 

 

 

婿に入るにあたって、

一つだけ、どうしても、

お伝えしたいことがある…

 

 

 

そして…

 

 

実際に、

会話が始まりました。

 

 

又左エ門和英さんは、

僕に色々と質問をして下さり、

そして、お考えをお話しになりました。

 

 

初めて2人だけでお話をしたということもあり、

本質を試されるような鋭い質問というよりは、

コミュニケーションを図る性質のお話が多かったと記憶しています。

 

 

それでも、聖子さんのことや、

家業のお話になった時は、

とても緊張感がありました。

 

 

そして、

 

 

又左エ門和英さんが、

お話の大半を

終えられた時、

 

 

僕は、

唯一、お伝えしたかった、

次のことをお話しました。

 

 

 

僕は、

自分を 愛情深く育ててくれた両親に、

心から感謝をしています。

 

 

そして、

両親に 孫の顔を見せてあげることが、

最大の親孝行であると考えています。

 

 

仮に お嬢さんと結婚して、 

将来的に 子どもを授かったとして、

僕は まず 親孝行がしたいです。

 

 

それに、子どもから見たとしても、

4人の おじいちゃん おばあちゃんは、

それぞれが等しく、大事な存在だと思います。

 

 

 

正確に一語一句、

同じ内容では無かったかもしれません。

 

 

しかし、

僕は、同じ趣旨のことを、

確かに、又左エ門和英さんに、お伝えしました。

 

 

これほどの手間をかけてまで、

僕が 結婚前に お伝えしたかったことは、

つまり、こういうことです。

 

 

 

婿に入るにあたり、

自分自身のために要求することは一切ありません。

(事実、僕から要求したことは ”何一つ” ありません)

 

 

しかし、将来生まれてくるであろう子どもは、

僕を 愛情一杯に育ててくれた両親から見れば、

又左エ門和英さん から見るのと同じように、

可愛い孫です。

 

 

婿に入るからといって、

孫と祖父母の関係に 差別を受けることだけは、

認めるわけにはいきません。

 

 

 

よりシンプルにいうならば、

一般的な 外孫(そとまご)と祖父母の関係” だけは 

守って頂きたいという、極めて常識的なお話です。

 

 

それでも、

結婚前にこのことだけは、

直接、確認しておく必要があると考え、

 

 

僕は、2012年12月に、

香港から来日し、

 

 

このことを、

又左エ門和英さんに、

お伝えしたのでした。

 

 

そして、

当然のことながら…

 

 

このお話を踏まえたうえで、

この結婚を認めて下さるのかどうか、

中埜家のご当主として ご判断頂きたいと 求めました。