1月25日(木)


 起床は10時前。昨晩は3時前に眠ったので遅い起床となった。朝食には、しじみの味噌汁を2杯飲んだ。そして伊右衛門の緑茶を飲んだ。両方とも西宮から持ってきたものである。無事に初日も明けたことだし、このあたりで日本を注入しておきたいと思ったのである。


(1月25日(木)は雨模様。)




 夕食用のバゲットを買いに東浦さんと出かけた。ホテル下のパン屋さんは木曜休みであったので、いつも買い出しに行くスーパーの近くにあるPaulというパン屋さんに行った。Paulは日本にもあるらしい。私はDONQしか知らなかったので恥ずかしかった。



(村上さんが撮影してくださった写真の掲載が増えてきている。店を見つけた瞬間。)



 「3本買ったら4本目タダです」と笑いながら店員さんが言ったようだ。部屋がバゲットだらけになっても困るので笑いながら断りをいれた。愛想の良い店員さんであった。「シェシェ」と言われた。東浦さんは笑いながら日本版の感謝の言葉を伝えていた。「アリガトウ」と、その店員さんは言ってくれた。その後はスーパーに寄って少しビールを買い足した。





 ホテルに戻ってエレベーターに乗っていた時のことであった。急に機械音が無くなって電気が消えた。停止してしまったようだ。初めての経験である。どうしたものか。暗い状態が数秒続いた後、予備電源なのだろうか、操作盤の上にあるLEDが光りだした。バゲットとビールを抱えながら我々はしばし呆然とする。



(midi12メニュー。)



 「光つけて」と東浦さんに言われて、スマホで操作盤を照らす。外部に通話するための説明書きを読んでいるところで、急に電源が戻ってきて、エレベーターは動き出した。乗るたびに「なんだか危ないエレベーターだね」という話はしていたのだが、肝を冷やした。




(midi12にて。)




 本日の出発は12時。今日はガレットというものを食べにいった。midi12というお店であった。ジョークの大好きな店員さん達であった。その後、ポンピドゥー・センターに出向くためにメトロの駅に向かう。




(クレープはフォークとナイフで食べるのが正式なのだそうな。)





 ホームは少し混雑していた。列車が到着したので乗車しようとするのだが、我々の前に何名かいた少女達が全く動かない。「行先が異なるのかな」と思い、彼女たちを追い越して乗り込んだ。列車内はギュウギュウである。その後すぐに先程の彼女たちも乗り込んできたのだ。列車内はさらにギュウギュウになった。



(気の良い店員さん。写真を撮られ慣れているし、村上さんは撮り慣れておられる。みんな、人生を謳歌している。)




 メトロはまだ扉を閉められない。手を下げられないほどギュウギュウになっていて、右腕は少女の左腕と空中で交差して当たっている。なんだか私の腕を避けられているようだなと思った瞬間に、車内の男性が何かを叫び出して、我々4人を列車の外に追い出した。少女達も一度降りたが、彼女たちはいつの間にか車内に戻っていてこちらを見つめて首を傾げながら残念そうな表情をしている。筆者は何が起きたのか全くわからなった。





 メトロはようやく出発した。列車がホームから完全に去った後、一人の男性が何か大きなコインのようなものを掲げて我々のもとに走ってきた。よく見るとPOLICEと書いてある。




(この日の朝の写真。部屋のゴミを捨てに行った。ゴミ袋も3枚もらった。もちろんGoogle翻訳に大活躍してもらったわけだが、筆者にとっては大冒険であった。任務を完遂した後、はじめてのおつかいを成し遂げたようで、誇らしい気持ちになった。※今年で43になります)



 スリが乗っていたのである。「何か取られたものはありませんか?」と言われて全員がカバンを見ると、チャックが開いていた。あまりにも電光石火のやり口であった。幸い、カバンから取られたものは無かった。下着の下に入れているクレジットカードとパスポートも無事であった。他の人も無事であった。私服のPOLICEはイヤホンで連絡しながらどこかへ去っていった。





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坂本企画21
『抱えきれない わたしを抱いて』

第30回OMS戯曲賞佳作作家、坂本涼平の受賞後初の長編作品。
「ほんの少し、ボタンを掛け違えた人の悲劇に寄り添う」がモットーの坂本企画が、難病患者の生きる権利と死ぬ権利に焦点を当て、「なぜ人を殺してはいけないのか」という問いに答えを出す意欲作。

【あらすじ】

頑張り屋さんの13歳の少女Aが、難病の少女Bのケアについて、少女Bの母親から学校のクラスへの強い介入を受ける。自身もネグレクトを受け孤独な少女Aは、唯一心を許す担任の男性教師の中に自分の居場所を作るため、自ら少女Bのケアを買って出て、少女Bから男性担任教師との二人の時間を取り戻そうとする。幼い決意が招く、罪と罰の物語。


“あの子”は突然やってきた。私たちの教室に。“あの子”が繋がれた、最先端の生命維持装置。それを扱うのは、先生一人と十三歳の私たち。生命維持装置の警報が鳴れば、すっ飛んでくる金切り声のおかあさん。荒れるクラス。攻撃し合うクラスメイト。私の大好きな先生は、日に日に疲れてうつむいていく。
誰かが背負わなきゃいけないなら。私がぜんぶ背負ってあげる。──幼い決意が芽生える時、導かれる解答は。

【企画意図】
 どうしようもない困り事が、世の中にはあると思う。はっきりと線引きできないものが、世界にはあふれている。それを割り切る者は、きっと一線を踏み越えることになるのだろう。自分の望みのために一線を越える者は、それが故に望みを奪われるはずだ。それが悲劇の鉄則なのだから。
 そんなシンプルで強固な芝居がしたい。自ら生きられない者は、生きる権利はないのか。問うことすら許されがたい問いを携えて、その答えを「生」の側でなく、「死」の側に用意して、観るものを揺さぶりたい、そして、そのやり方は美しくありたい。そんな芝居が、いま観たいのだ。

※第一幕台本公開中:http://blog.livedoor.jp/tottengeri/archives/1802248.html
※本公演トリガーアラート:http://blog.livedoor.jp/tottengeri/archives/1802253.html


【上演日程】
〈大阪公演〉
2024年
3/22(金)19:30
3/23(土)14:00/18:00
3/24(日)12:30/16:00

〈東京公演〉
2024年
3/29(金)19:30
3/30(土)14:00/18:00
3/31(日)12:30/16:00

受付・開場は開演の30分前
上演時間約90分を予定

【チケット】
前売¥3,500 当日¥3,800 学生¥2,000(要学生証) ※全席自由
予約開始:2024年2月1日(木)12時

公式HP:https://www.sakamotokikaku.com

大阪公演チケットフォーム
https://ticket.corich.jp/apply/292970/002/


東京公演チケットフォーム:
https://ticket.corich.jp/apply/293003/002/

【上演劇場】
大阪・日本橋 インディペンデントシアター1st
大阪府大阪市浪速区日本橋3丁目3-19 インディペンデントシアター1st
●OsakaMetro堺筋線 恵美須町駅 1A出口 右手(北)8分
http://itheatre.jp/access.html

東京・三鷹 SCOOL
東京都三鷹市下連雀 3-33-6三京ユニオンビル 5F
👣三鷹駅南口・中央通り直進3分、右手にある茶色いビル5階
https://scool.jp

【出演】
鳩川七海(幻灯劇場)
中野聰(愚禿堂/宇宙ビール)
荘司歩美(坂本企画)


【スタッフ】
脚本・演出 坂本涼平
舞台監督 西野真梨子
美術 本田夏実(BS-Ⅱ)
照明 菅野万里恵(baghdad café)
音響 八木進(baghdad café)
音楽 イナミセイジ
衣装 坂本歩美
小道具 きのこうじょう
宣伝美術 北岡悠
舞台写真 北川啓太
映像撮影 飯阪宗麻(NOLCA SOLCA Film)
制作協力 (同)尾崎商店


【問い合わせ】
坂本企画
sakamotokikaku@gmail.com




『The Bone』期間限定動画は

 











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