次に覚えているのは、審査発表の瞬間である。自身の伴奏もなんとなく覚えてはいる。ピアノに向かいながらふと右に目をやると客席がすぐにある。その風景は覚えているの。学生服を来て、指揮者を見て、楽譜を見て、譜めくりは他クラスの生徒がやってくれたようにも思う。附属中学校の体育館であったようにも、岩手県民会館であったようにも思われる。









 三冠を達成することを春に決意した3C組。校内陸上記録会で優勝してしまう。「落合はな、歩くんだ。」とYがニヤリとした。部活を引退してしばらく経った頃に行われる球技大会。歩くことから自主トレを開始し、見事優勝。これで二冠。残るは、この合唱コンクール。歌い出しが大切。その歌い出しは見事に決まった。いよいよ発表である。静寂の後、







金賞、3C組。







 女子からはキャーという高い声、男子からは吠え声が響いた。椅子から思わず立ち上がり、拳を高く上げる者、隣の仲間と抱き合う者、落合のように慎ましやかにガッツポーズをとる者。








 我々はついにやったのだ。三冠王をとったのだ。









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(なんでもとっておくものである。)