(続いています)



 阪急三宮駅西口近くの茶房ジャヴァには田村正和の写真が飾られてあった。『過ぎし日のセレナーデ』の撮影で来たそうだ。当時のことを従業員の方に聞いたことがある。その写真を眺められるテーブルか、その写真のすぐ麓のテーブルをよく利用して、ニヤニヤ眺めては情熱の充填をはかっていたものであった。






 先日VHSからDVDへのダビングを依頼して4ヶ月待ちになったことを記事にしたけれども、そのVHSの中に『三ノ宮炎上』という作品がある。不肖筆者が脚本・演出を担当した、もちろん演劇作品である。この作品の原作は井上靖。高校の頃から筆者は井上靖の作品にハマっていて、受験勉強に手がつかない程に読み込んでいた時期もあった程である。






(淀川河川敷公園に行ってきた。土手に寝転がってみた。)




 


 井上靖といえば、「歴史小説の大家」ということになっていて、例えば遺作となった『孔子』は有名どころであるし、大河ドラマにもなった『風林火山』、歴史小説論争を巻き起こした『蒼き狼』、筆者が恐れ多くも卒論に取り上げた『天平の甍』など、作品名を聞いたこともあるのではないか。







(気持ちよさをお裾分けしようと思ったがカメラワークが早すぎて酔いそうである。)






 でも筆者が好きなのは、井上靖の現代物。現代物といっても、もちろんそれらの時代背景は大正から昭和中期であるが、例えば自伝的小説の『北の海』や『あすなろ物語』は、十代の頃に読んでとても面白かったが、筆者が一番好きなのが、戦時中の三ノ宮の不良達を描いた『三ノ宮炎上』なのであった。



(続きます)