「遺跡発掘師は笑わない マルロの刀剣」
桑原水菜 角川文庫
を読みました。
西原無量シリーズの新刊です。
今回の舞台は愛知県です。
名古屋市大須のお寺で、建て替えのための試掘調査をすることになった無量。
掘ってみると、防空壕あとから常滑焼の土管が見つかります。
中を調べると、刀剣が入っているようです。
その土管は終戦間際、軍関係の人が持ってきたようなのですが…。
あとはお読みください。
遺物としては、第二次世界大戦の時のものの話になります。
『ほんの七、八十年前のものでも、あの防空壕や伊那の地下壕も立派な遺跡だ。「戦争遺跡」だ。今ならまだぎりぎり証言者が存命している。発掘で出土した遺物の意味を知ることもできる。あと十年もすれば、戦争経験者の数はぐっと減ってしまう。』
…と本文にあります。
遺跡、遺物というと、すごく古いものを思い浮かべがちですが、近い過去のものでも遺跡、遺物なのだとあらためて思いました。
そして、それについて知っている人がいるというのは、とても大きなことなのだと思いました。
8月は終戦記念日があります。
当事者の方は、もう思い出したくない(口に出したくない)と思っている方もたくさんいらっしゃると思います。
でも、自分がいなくなる前にやはり話さなければと経験を語ってくださる方もいらっしゃいます。
遺跡、遺物になってしまうと、いくら資料がそろっていても、わからないところは推測して、また資料が出てくるのを待つというふうになってしまうと思います。
なので、今発信されている数々の貴重な証言を、大切にしていかなければいけないなぁ…と思いました。