「金春屋ゴメス」
西條奈加 新潮文庫
を読みました。
最近一番読んでいる作家さんは…西條奈加さんだと思います。
わたしにとっては、読みやすくて、おもしろいと思える好きな作家さんです。
「金春屋ゴメス」は、題名は聞いたことがあったのですが、西條さんとは結びついていませんでした…。
帯に、幻のデビュー作とあり、令和4年発行とあるので、今まで文庫になっていなかったのが意外でした。
題名がキョーレツですよね。
なんだろう?と思います。
主人公は、辰次郎という人なので、その人の、江戸国の身元引受人となった、長崎奉行、馬込播磨守寿々さんがゴメスです。
金春屋も、人気食堂の金春屋の裏にあるから本当は裏金春で…。
(詳しくは本編をどうぞ)
話は、「鬼赤痢」という疫病が流行り、1番最初の発症者グループの唯一の生き残りが辰次郎だったという経緯から江戸国に入国することになります。
彼は、江戸国時代の子どもの頃の記憶が全くないのですが、江戸国で色々試すうちに、記憶をだんだんと思い出してきます。
2005年の日本ファンタジーノベル大賞の作品とのことですが、2020年のコロナ禍を彷彿とさせるような作品です。
本文でも、疫病は江戸国が建国する前年にもあったということがあとから書かれており(それが江戸国独立のきっかけにもなった)、病原菌の強さは色々だけど、歴史の中ではよくあることだというように書かれています。
コロナ禍は今までにない強い菌だったので、全てがひっくり返るくらいのインパクトがありました。
ここまで強いものはしばらく出てこないかもしれませんが、国のあり方や自分たちの生活を自然に問いかけられているのかもしれません。