子どもの時、

「夜に爪を切ると、親の死に目に会えない」

と言われました。


もとは、爪を夜に切ると、飛んだ爪が落ちていて危ないから、そういうふうに言うようになったと聞いたことがあります。


でも、言葉の意味が強すぎて、わたしは夜に爪を切れませんでした。


何年か前に父親が亡くなりました。

その時、死に目には…会えませんでした。


一緒には住んでいないので、会いに行くと、帰りに父と目を合わせて帰りました。

その時はまだ元気だったけれど、何があるかわからないから、もしかしたら最後かもという気持ちで目を合わせていました。

多分、父もそんな気持ちだったのではないかと思います。


亡くなる前に最後に会った時は、もう一回くらい会えるかな?とも思いましたが、亡くなってしまいました。


でも、死の瞬間に立ち会えなかったけれど、後悔とか残念とかそういう気持ちはまったく起きませんでした。


あれだけ爪切りにはこだわっていたのに不思議ですよね。

自分なりに、だいぶ前からお別れをしていたからかもしれません。