おいしい文藝「こんがり、パン」

 津村記久子 穂村弘ほか  河出文庫

を読みました。


この本は、パンが絡んでくるエッセイが40篇、書かれています。

年齢層高めの方の文が多いです。


こんなパンがおいしかったという話はもちろん、外国のパンはこんなふうだとか、戦争のころの貧しかった時の体験など様々です。


わたしの場合はどうだろう…とパンにまつわる記憶を辿ってみると、いろいろと思い出すものですね。


その中のひとつ、シンガポールでのことです。


わたしの海外(国内もですが)初ひとり旅の行き先はシンガポールでした。

慎重派なので、1泊目はホテルをとっていきました。

飛行機でなかよしになった、ヨーコちゃんはYWCAに泊まるとのこと。次の日からは、わたしもそこにしようと部屋を取りました。


YWCAに泊まった翌朝の朝食です。

パンと飲み物の簡単な朝食ですが、そのトーストが、薄切りで、かなりこんがり焼かれたものが立てて出てきました。(トーストスタンド)


伊藤比呂美さんのエッセイにも出てくるのですが、わたしにとっては、かなりカルチャーショックなトーストでした。


イギリスの植民地だったから、“ヨーロッパのかおり”…なのですね…なんか違う!とすごく印象に残りました。

これが、わたしのヨーロッパの(行ってないけど)原体験のようなものなのでしょうか。


そのあとはアジアにどっぷり。

マレーシアのクアラルンプール行きのバスで知り合った人が2人、泊めて下さるというので、クアラルンプールで1軒、シンガポールで2軒、おうちに泊めてもらい、地元の人の生活を垣間見ることができました。


アジアどっぷりの朝食の思い出は、パンよりも、コンデンスミルク入りのコーヒー“コピ”です。

毎朝、アパートの下の食堂でご飯を食べ、そのあと飲んだ“コピ”…これがわたしの東南アジアの原体験なのかもしれません。