「うわっ!え?どした?」
突然泣き出した僕を見て、うろたえるさとしって名前の男の子。
「あー!おーちゃん、何したの?」
「え?!いや...」
「大丈夫?どっか痛いの?」
「だから、おいら何にも......」
「えっと何くん?名前は?」
大きな声の元気いっぱいの男の子が、一生懸命僕に話しかけてくれて、さとしって男の子は返事が出来ないでいる。
「かず....」
「かずくん?かずくんはどこの子?」
どこの子って、どこって言えばいいんだろう。
ますます涙が溢れてくる。
そんな僕の涙をぐいっと手で拭いてくれたのはさとしくんで、元気な男の子は後ろから来た目のおっきな頭良さそうな男の子に叱られてシュンとしてる。
「かずくん?ごめんね。びっくりしたよね?」
おっきな目の男の子がしゃがんで話しかけてくれる。
僕の顔を見て、大丈夫?怖くないよって言ってくれる。
それから僕はしょう、こっちはまさき、あっちでヘタってるのが僕の弟のじゅんだよって教えてくれた。
そう言われて見てみると、僕と同じくらい細くて色の白い男の子がハァハァって息を切らして座り込んでて、その男の子の目はやっぱりおっきかった。
「かず、もしかして迷子か?」
ぎゅっと僕の手を握ってそう言ったのはさとしくんだった。
胸がギューーって苦しくなったけど、今度は泣かないようにがんばってこくんと頷いた。
そしたらしょうくんとまさきくんがなんかわいわい話し出して、だけど僕は不安でいっぱいで何言ってるのかあんまり理解出来なくて。
またちょっと泣きそうになって。
そしたらぎゅっぎゅって僕の左手をさとしくんが握って「大丈夫。おいらが一緒にいるから」って、ふにゃっと笑った。
その顔を見たらなんだか僕は安心して、どうしてなのか分からないけど、 少しだけ笑えた。
「あ!かず笑った!かわいい!」
そう言ったさとしくんが僕をぬいぐるみみたいに抱っこしたから、僕はさとしくんにしがみついたんだ。
ずっと不安でいっぱいだった気持ちが、ちょっとずつ小さくなってた。