しっかり2人前を食べきった櫻井さんがなぜか食器を洗うって張りきってて、相葉さんは甘い顔でそれを見てた。
今日は特別ねって相葉さんが言って、みんなで後片付けをする。
かずは時々相葉さんを見て動きが止まってたけど、きっと色々思うことがあるんだろうと声をかけることはしないでおいた。
片付け終わったところで相葉さんに潤からメールが届いて、ハンバーグ食べたがってるよって相葉さんが笑いながら言う。
櫻井さんが潤の分も食べたって教えられた潤も、太るぞってメッセージを返してきて、櫻井さんは運動しようって呟いたのが面白すぎて残念すぎた。
散々笑って、なんとなく静かになった。
「まーくん....」
かずが砂丘に行きたいって相葉さんに訴えてる。
なんとなく2人で行ってしまいそうだったから、付いて行こうって思ってた同じこと考えてたらしい櫻井さんが「2人で行くのはダメだよ」って言ってて。
俺もうんうんって頷いて砂丘へ歩く2人のうしろを櫻井さんと歩いて行った。
砂丘の一番高いところまでのぼって座ると冷たい空気に月が冴えて綺麗だった。
海風がビュービュー吹きつけてめちゃくちゃ寒くて、だけど、かずと相葉さんはどこか楽しそうに文句を言ってた。
「潮くさい」
「ベタベタ」
「靴の中砂だらけ」
「玄関も」
何それ?って櫻井さんが笑うから俺も笑った。
冴えた光の中で相葉さんがかずに話しかける。
「和」
「………?」
「和が20歳になったら、僕はシェアハウスを出るね。和も無理に続けなくていい。和のやりたいことを一番に」
「………」
かずは何も言わなかったけど、相葉さんの手をぎゅっと握った。
寄り添った背中が寂しいって言ってた。
風がめちゃくちゃ強くて、身体が冷える。
風邪ひくからってまだ居たいって言う2人を連れてシェアハウスに戻った。
つないだ手はそのままで、かずは相葉さんの少し後ろを歩いてた。
シェアハウスに戻ると櫻井さんがお風呂の準備をして、俺はコーヒーの準備をする。
コーヒー飲み終わって誰から入るって話をしてたら、相葉さんと櫻井さんのイチャイチャが始まる。
誰が先って決まらねぇなって思ってたらよし、一緒に入ろうとか言い始める櫻井さん。
戸惑う俺たちは気にならないのか、すんげぇニヤけた顔してるし。
「今日も俺が雅紀の身体洗う」
「え、今日も?」
「今日もだよ」
や、待て待て待て。
ここでそんな話すんなよ。
俺とかずはどんな顔してたら良いんだよって思ってるのにどんどん色々話し出す2人。
なんなんだ。
ほぼえろトークな2人の会話。
気持ちいいだろとか何とか言い出したから、さすがに止めに入った。
「ちょっ………ちょっと‼︎そういう話は誰も居ないとこでしてくれっ。かずには刺激が強すぎんだろっ」
「え」
「あ」
マジで自覚なかったらしい2人はちょっと申し訳なさそうな顔をしたけど。
俺はさっきから俯いて丸っこい手で顔を覆って、耳を真っ赤にしてるかずに声をかける。
ふるふるっと首を振ったかず。
そうだよな。恥ずかしいよな。
甘い雰囲気のままお風呂に行った2人を見送ってかずを見ると、赤い顔で俯いていた。