教えられたお店は個室ばかりの居酒屋さんで、潤くんが来てそうなお洒落なところだった。
店に入ったとたん俺は何も言ってないのに、店員さんが案内してくれて、あっという間に個室の前に立ってた。
ノックして引き戸を開けると人待ち顔の剛ちゃんが嬉しそうに俺を見て笑う。
「お疲れさま。待ってたよ」
「お疲れさま。なんか、久しぶり?」
「ニノは誘っても全然来てくれないからね」
「ふふ。たまには来るよ?」
「ゆっくり出来る?」
メニューを手に取って何飲む?って聞いてくれる剛ちゃん。
とりあえずビールかなって言いながら、店員さんを呼んでビールをお願いして、まだ何も頼まずに待っていてくれた剛ちゃんの食べたいものを聞きながら何品か注文していく。
「かしこまりました。
少々お待ちください。」
そう言って店員さんが出て行った。
それと入れ違いくらいのスピードでビールを持ったお姉さんが引き戸をノックして入ってきた。
ビールで乾杯して、最近の仕事のことを話す。
剛ちゃんは本当に俺たち嵐のことを好きで、新しい歌のこと、メンバーの出てるドラマのこと色んな視点で色んな話が出てくる。
うんうんって聞いてるうちに頼んだものも揃って、二杯目のビールも届く。
『じゃあ改めてカンパーイ』
なんて、楽しく食べて飲んで話して。
やっぱり剛ちゃんと飲むのは楽しいなって、そう思いながら話してる剛ちゃんの顔を見てた。
ふっと剛ちゃんがビールに口をつけて、無言になる。
ビールから俺へと剛ちゃんの視線が動いてその優しい目と見つめあった。
「ニノ、今日、俺ん家来る?」
「なんで?」
「なんか、いつもと違うから」
「よくわかるんだね」
「わかるよ。ニノだもん」
ふふって笑うと剛ちゃんも笑った。
「家、行っていいの?」
「ニノならいつでもいいよって、前から言ってるでしょ」
「うん」
「今日は一人にしたくないなと、思って」
「なんで?」
ずっと優しく笑ってたけど、その時は真面目な顔してた。
「寂しいって顔してるから」
うんも、
ううんも、
どっちの返事も出来なかった。
それが、返事になった。