「俺....もっ...俺も.....好き....」
唇の隙間から、こぼれ落ちる俺の声。
開いた唇からおーちゃんの舌がするっと入ってきて、大人のキスをされる。
頭がボーッとしてきちゃって、気持ち良くてどうしたら良いのか、ますます分かんない。
そしたらおーちゃんの腕が少し緩んで、ふわっと抱き上げられた。
おーちゃんの前髪がさらさらと俺のほっぺたに当たってくすぐったい。
髪の毛の間から見える目が俺のことジッと見てた。
部屋の出入り口の扉から見えない壁ぎわにそっと降ろされて、またキスされて。
ドキドキして、きゅうっと胸が苦しくて。
おーちゃんに手を伸ばしたら、熱い手に包まれた。
そのまま沢山キスをして、どれくらい経ったのか分かんないけど、そっとおーちゃんが離れていった。
俺の隣に座って肩を抱き寄せてくれたから、こてっと肩にもたれかかった。
優しく頭を撫でてくれて、髪にもキスをくれるから、嬉しくなって抱きついたら
「お前、本当に可愛いな」
って、言ってくれた。
そっと見上げたおーちゃんはすごく優しい顔をしてて、おーちゃんの為なら何でもできるって思ったんだ。
「お菓子でも食うか」
「うん」
小さな机にお菓子を置いて、色々話しながら食べる。
おーちゃんは意外と甘いものも好きで、プリンを食べてるから可愛いとか思っちゃう。
綺麗なおーちゃん。
カッコイイおーちゃん。
おーちゃんの隣に居て恥ずかしくないように、俺も頑張ろうって思った。
ボーッとしてるように見えても、おーちゃんは真面目な努力家で。
だからこんなにも惹き付けられる。
おやつを食べてお風呂に入って、2人で布団を敷いて、当たり前みたいにひとつの布団でよこになった。
綺麗な横顔を見てたら、寝てると思ってたおーちゃんが話しかけてきてびっくりした。
「かず」
「へっ?」
「へってお前.....」
「なに?おーちゃん」
「あのさ...お前が覚悟できるまで、キス以上のことはしないから」
「え?.....それって....」
「おいらはもっと色んなことしたいけど、お前はまだ子どもだし、無理やりそうゆうことしようとか思ってねぇからって言っときたかっただけ」
「.....おーちゃん..」
「無理しなくていいから。おいら気は長いし、待ってるから。ちゃんと考えろ」
その声が優しくて、こっちを見てギュッと抱きしめてくれたおーちゃんが綺麗で。
おーちゃんのことが大好きってその事だけしかなかった俺は、ちゃんと考えるって約束した。
あの頃、俺はまだ子どもで。
でもおーちゃんは大人になりかかってて。
大人になった今、おーちゃんが俺のこと大切にしてくれてたんだって、よく分かるんだ。