happiness 120 | 大宮さんと一緒 。。。

大宮さんと一緒 。。。

大宮さんの妄想BL小説です。
色々、大丈夫な方のみお読み下さい。

にのちゃん大好き♡嵐さん大好き♡

大宮さんに癒されて、ドキドキして、毎日幸せ。

嵐のみなさんずーっと、幸せをありがとうございます!





握りしめた手が、少し痛い。


かずは、こっちを見ない。




何とかこっちを向かせたくて



「かず、手、握っていいか?」



出した声は少し震えてた。




返事は無かったけど、そっと左手を取ってオレの両手で包み込んだ。


一瞬ピクッとして、俺の手を振り払ったかず。


それでもその手を追いかけて包み込んだら、こっちを見てはくれなかったけど、今度は振り払われなかった。



だからそのままかずの手を握ってた。



いつもなら俺がキュッて力を入れると、かずもキュッて握り返してくれて、なんにも話さなくても会話してるみたいでちょっと楽しかったりするのに、今日のかずは無反応で。



キュッと握っても、親指で手の甲をさすっても何の反応も無くて。



諦めないって決めたばっかりの決心が端から崩れていきそうになる。




それでも

その手を握らせてくれてることだけを頼りに、かずに気持ちが伝わるようにギュッとかずの手を握ってた。






パタパタと足音が近づいて、そっちを見たら看護師さんが歩いてきてた。




「退院についてのお話がありますので面談室へどうぞ」


そう言われて、先生の待つ面談室に案内される。






先生は俺を見て、すぐに話し出した。



「大野さんですね?」

「はい」

「二宮さん入院継続の必要はないですから、今日退院になります。紹介状を出しますので精神科の方を受診して帰ってくださいね」




いきなりの言葉に一瞬戸惑う。



「あのっ、もうこのまま退院ですか?」

「詳しくは事務の者から説明がありますので、そちらにお聞きください。それではお大事に」

「あ.....はい。ありがとうございました」




先生は淡々と言うべきことを言ったらさっさと行ってしまった。


そのドライな感じになんとなくモヤモヤしたけど、それを口に出すことも出来ずに、あっという間に先生は居なくなって、何とかお礼を言うので精一杯だった。



検査の結果とか、注意することとか、後遺症はないのかとか、次の通院はあるのか、予約するのかとか、聞きたいことは山ほどあったけど、あまりにも先生がせかせかしてて、聞くタイミングを逃した。


ってか、聞けなかった。




なんかがっくりして面談室から出ると、今度は看護師さんが



「精算の間に点滴を外して、お着替えなどして頂きますので、お着替えお預かりします」


って、てきぱき言われて。
なんかよく分かんないけど、とにかく用意してきた着替えの袋を渡す。



今度こそかずのことを聞かなくちゃって思って



「あのっ、かず.....二宮さんは大丈夫なんですか?後遺症とか.....」


「大丈夫ですよ。大丈夫だから退院なんです」



って、さらっと言われて。


俺の渡した袋を持ってさーっと行ってしまった看護師さん。



ちょっと呆然としてる間にブルーの制服を着た事務の人っぽいお姉さんが来て、退院の手続きは出来てますので、精算機で精算してきてくださいって言われて。


お姉さんの後ろについてICUを出た。




ICUの外でお姉さんから精算機の場所を教えてもらって、精算が済んだらICUに戻るように言われる。



教えられた通りに廊下を進んで、自動精算機に並ぶ。


機械に診察券を読み取らせると金額が表示された。



俺が思ってたより大きな額でちょっとびっくりした。

本当は俺が自分のお金でかずの入院費を払おうと思ってたんだ。


だってこれから先、かずを守って生きてくって決めてたから。

それならかずの入院費とか、治療費とか俺の稼ぎでやっていかなきゃダメだよなって思ってて。



なのに



最初から、ダメって。


俺の持ってた金じゃ足らなくて、結局相葉さんから渡されていたお金から助けてもらって、なんとか精算を済ませて。

出てきた領収書をお釣りと一緒に残ったお金の封筒に戻した。



なんか、すげぇ惨めだった。



俺は自立してて、かずを守ってやれるって思ってたのに、こんなとこでさえ考えが足らなくて。



これから病院にどれくらい通って、どれくらい治療が続くのか。


いつか、治療が必要じゃなくなる日が来るのか.....。


お金だってどれくらいかかるのか見当もつかなくて、あんまりにも自分が情けなくて、分からないことが多すぎて不安になる。



その不安を振り払うように、ふーっと息を吐いた。







後は紹介状を受け取って精神科に行く。


頭の中でするべきことを復習する。



なんの説明も無いことも不安で、俺を落ち着かない気分にする。




ICUに戻るための廊下を歩き出すけど、今度はさっきのかずの顔がチラチラ頭をよぎる。



笑わないけど、怒りもしない。

悲しそうな顔もしない。



ただ空中をさ迷わせるようにしてたあの目。


なんにも見えてないような目を思って、歩くスピードが落ちる。




かずに会うまでは早く顔が見たくて仕方なかったのに。

少しでもかずの体温を感じたかったのに。



手を握っても、俺の顔を見なかったかず。



いつまで?


いつまで俺を見ないんだろう。



もしもずっと見てくれなかったら...一瞬浮かんだ考えにゾクッとする。



それでも俺はかずが好きで、怖いけど怖くて仕方ないけど、やっぱりかずの側に居たくて。




ノロノロとICUへの廊下を進んだ。