「やっぱり、ニノの朝ごはん美味いなあ」
「そりゃ、どうも」
「翔にメールしてやろ」
「やめなさいよ」
「いーじゃん。あいつ絶対機嫌悪いの隠して返事してくるぞ」
「本当、趣味悪いな」
「いーんだよ。翔をからかうのは俺くらいしかいないだろ?」
ニヤニヤしちゃってる准一くんは、たぶん何を言ってもやめてくれない。
あなたは面白いかもしれないけど、大変なのは俺なんですよ?
それも分かってるんだろうけどね。
昨日俺と飲みに行っただけじゃなく、この部屋に泊まったことへのお詫びのつもりなんだろうけど。
俺、准一くんにそこまでしてもらわなくても、ちゃんと自分で甘えたり出来るんですよ?
准一くんはいつまでも俺のこと小さな弟、いや、妹って言ってたか。そんなふうに思ってるみたいなんだけど。だけど、俺ももう30過ぎたおじさんなんですからね。
コイビトに甘えたり、拗ねたり素直になることだって出来るようになったんです。
それを言っても、准一くんが変わらないことも知ってるから言わないけどさ。
本当に、俺に対して過保護すぎんだよ。
「ニノー」
「なんですか」
「来たぞ、返事」
「早いですね」
「今晩は、俺が泊まるからって伝えてくださいだって」
「了解って伝えてくださいね」
「はいよ」
ウキウキと返事があったって話してる准一くん。俺からの返事を伝言してもらうように言えば、さらに嬉しそうにスマホを触ってる。
ブルっと俺のポケットで震えたスマホをチラッと見たら、しょーちゃんからのメールのお知らせ。
ポンポンっと操作して画面を表示したら
『今夜、寝かしてやれる気がしない』
って言葉と、どうやら准一くんが送ったらしい写真が出てきた。
もう、准一くん.....
寝てる俺に、添い寝して勝手に写真撮るの止めてください.....
今夜は眠れなさそうだなって、覚悟した。