「准一くん...」
「ニノ....」
ポツリと名前を呼べば、優しく呼び返される。
「ありがと....」
「なんか複雑だわ」
「なんでよ?」
「なんか妹を嫁に出す気分」
「は?」
「山口くんも言ってたけどさ、ニノは本当に妹キャラだからさ。気遣いの方向が彼女だもん」
「そんなふうに言ってもらうのありがたいけど.....」
「もともと気遣い出来て可愛かったけど、翔と付き合うようになってからは加速度ついて可愛くなったもんな」
「何言ってんの??」
「なんか、惜しくなってきた」
「は?」
「翔にやるのもったいない」
「ばかなの?」
「俺にしとくか?」
「冗談もほどほどにしてよ」
真剣な顔して俺をジーッと見つめる准一くん。
俺もその目を見つめ返す。
「ブハッ」
「プッ」
顔を見合わせて、ゲラゲラ笑っちゃう。
本当、無駄に真剣な顔するんだもんなぁ。
「何の遊びなのよ」
「いや、ちょっと揺さぶってみようかと思って」
「やめてくれます?しょーちゃん、怒るとややこしいんだからね」
「うん。知ってる。それを見たい気もする」
「本当にやめて」
「やんないよ」
「うん」
「もう1回だけ、抱きしめていいか?」
「.....うん」
優しく抱きしめられて、おめでとう幸せになれよって、お父さんみたいなこと言った准一くん。
ありがとう。
言わないけど、俺もお兄ちゃんみたいに思ってるよ。困った時はたよりにしてるからね。って言ったら、翔はめんどくさいから嫌だとか言いそうだなぁなんて、思った。