脱衣場に着替えとタオルを置いて、リビングに戻る。
ソファーに座って、しょーちゃんにただいまーってメールを送る。
准一くんが来てることも、シャワー浴びてることもちゃんと報告する。これからまだ飲むことも伝えれば、きっと泊まるんだろうってしょーちゃんは思うはず。
俺のこと信じてくれてるし、相手は准一くんだからしょーちゃんだって安心してると思うけど、安心してねって気持ちを精一杯こめてメールを送った。
すぐに返事が来て「飲みすぎるなよ。明日な」って簡単な内容。
電話してきてくれたら良いのに。
こんな時、遠慮して気をつかってかけてきてはくれないんだよね。
いつも、後で会ったときに、かけてきてよって言うんだけど、しょーちゃんが困った顔するから、クスクス笑ってごまかしてる。
本当はね。
声、聴きたいんだ。
ひと言でもいいの。
おやすみとか、カズとか、少しだけでいいから、声が聴きたいんだよ?
あの低い声で、俺への愛情が漏れちゃってる甘い声で、俺のこと包んでくれたらいいのにって、いつも思ってる。
しょーちゃん、知らないでしょ?
「ニノ」
いつの間にか准一くんがシャワーからあがってきてて、声をかけられた。
何も気取られないように、ニコッと笑った。
「早かったですね。ぼーっとしてたのかな?気づかなかったよ」
「そうか。お前もシャワーして来いよ」
「うん。ビールとか適当に飲んでて」
「はいよ」
「おつまみ乾きもの嫌なら、俺、出てきたら作るから」
「おっ!サービスいいな」
「何言ってるの。いつもなんか作らせるくせに」
「そうだな」
「もう。とりあえず急いでシャワーしてきますね」
「急がなくて良いよ」
「はい」
准一くんの反応が、いつも通り過ぎて笑っちゃいそうだけど、我慢してバスルームに向かった。