「なんか飲む?」
黙ってるのが辛くて、みんなに声をかける。
「あ、じゃあラテ」
「俺はミルクティー」
「かず、なんか飲むか?」
「コーヒー飲みたい」
「カフェオレにしとけ」
「えー、やだ」
「だめだ。胃にも負担がかかると吐くぞ」
「はーい」
「よし。潤、俺はココア、かずはカフェオレ頼む」
「わかった」
楽屋を出て、すぐそこの自販機に歩く。
嫉妬で胸が焦げそうだ。
いつも触れ合う距離にいて、お互いばかり見てる2人だけど、こうゆうのが1番こたえる。
キツイ状況のかずが、甘えるのもワガママ言うのも大野さんにだけだ。
他のメンバーには大丈夫って言うんだ。
大丈夫なんかじゃないのに。
あのハワイでのライブの時だって、あいつは大野さんの言葉には素直に従ったじゃないか。
俺の心配もわかってただろう。
だけど、弱いところは見せない。
辛いとも、痛いとも、苦しいとも言わない。
いつも同じ温度で、いつもの笑顔でそこにいる。
そんなお前が、唯一甘えて、素直に従うのはいつも大野さんで。
それは、俺とお前が近くに居たあの頃でさえそうで。
俺は
俺は、本当は。
ずっとその位置に憧れてたんだ。
お前に頼られて、お前を守って。
いつだって、1番近いところでお前を見ていたかった。触れていたかった。
諦めたはずなのに、チリチリ痛む胸。
相葉さんの言葉がぐるぐると頭を回る。
どう見たって、俺が付け入る隙はない。
そう見える。
だけど、もう誤魔化すのも限界なのかな。
最近、気づくとカズを目で追ってるんだ。
買った飲み物を両手で抱えるようにして楽屋に戻る。
ドアを開けたら、カズに覆いかぶさる大野さんが見えた。