相葉さんの目が本気でタチが悪い。
「ねえねえ、潤ちゃん。誰が好きなの?」
ブホッ!!
口に入ってた焼酎が飛び出した。
「あ〜あ、もう。勿体ないなあ。汚いよ、潤ちゃん。くふふ」
「笑ってんなよ!お前のせいだろ」
「なにがあ?」
「酔ってんのか」
「酔ってませーん」
「言わないよ?」
「だよねー」
「分かってるなら聞くなよ」
「んー。でも、ポロっと言うかなあとか?」
「言わねえよ」
「やっぱり?」
「まあいいや、飲も飲もー」って言った相葉さんと、その後は色んな話をしながら飲んだ。
帰り際、ボソッと耳元で言われたことは、聞かなかった事にした。
『かずくん、素直じゃないから大変だよ?』
相葉さんは、やっぱりミラクルだと思った。
2日後、また5人の仕事があった。
最近は、みんな忙しくてなかなか全員揃う仕事は少なくなってるけど、CMとかの撮影があると1日一緒に過ごすことになる。
今回は、もう長くやってるゲームのCMで。
全員で息を合わせることが重要なポイントになるような内容で。
とにかくスタッフさんのリハーサルを見て、細かく確認しながら作っていく。
途中、大きなボールを持ったカズが、後ろにステップする所で、床に落ちてた紙で滑って転びそうになった。
「あっ!」
相葉さんの声がして、みんなの見守る中スローモーションみたいに後ろに倒れていくカズ。
咄嗟に手を出して支えようとした時、俺よりはるかに速く動いた人がいた。
その人は素早くカズの後ろに入って、全身でカズを受けとめて支えている。
それでも少しだけ腰に負担があったようで、一瞬だけ顔をしかめたカズを、さっとお姫様抱っこすると
「ごめん、ちょっと休憩入れさせてください」
滅多にしないリーダーらしい顔で静かに言ったから、リーダーのあまりに素早い動きに呆気に取られていたスタッフも、バタバタと動き出して、床を確認する時間も兼ねて20分の休憩になった。