相葉さんと翔さんも長く付き合ってるよな。
その昔、「翔くんのこと大好き」なんて言ってついてまわってたけど、兄ちゃん欲しかったからね。
なんかさ、みんなと違うオーラをバンバン出してた翔くんに一気に憧れちゃって、今思えば知恵熱みたいな感じだったのかな...なんて思ったりする。
その翔さんと、天然で優しい相葉さんが付き合い始めたって聞いた時も、びっくりしたよなあ。
その頃には、俺はいわゆる反抗期って言われる時期に突入してて。
だけど、同性を好きになる気持ちも、それをメンバーに隠さずに言う勇気も、やっぱりすげえって思って、珍しく素直に『おめでとう』って言えたんだ。
たぶん、俺はカズを好きになってて、自分の気持ちを守りたいって感情もあったのかななんて、今なら思う。
目の前でパクパク飯を食うほっそい相葉さん。
昔から細かったけど、ライブでアクロバットをやるにあたって、真剣にダイエットしてたもんな。
不思議なんだけど、ダイエットを続けるうちにどんどんスイーツ好きになったのは、あれはどんな作用があったんだろうな。
最近じゃあ、みんなでスイーツ食べるようになっちゃって、差し入れもスイーツが多くなってる。
面白いよなあって考えてたら
「ねー、潤ちゃん。聞いていい?」
サラダの後のお肉に突入してる相葉さんから、声をかけられた。
「なに?なんか聞きたい事あるの?」
「あるある。いっぱいある」
「良いけど、いっぱいはやだな。質問ばっかになりそうじゃん」
「くふふ。そうだねー。じゃあいくつかね、いい?」
「お手柔らかにお願いしますよ?」
ふふって笑って答えたら、真面目な顔になった相葉さん。
あー、失敗したかも。
真面目モードか。
聞きにくいことも、ズバッと言ってくるからなあ。真面目モードの相葉さんは。
「潤ちゃん、好きな人いる?」
俺の『しまった』って、顔を見てるはずなのに、それを完全にスルーで話しかけてくる相葉さんは男前だ。
綺麗な顔してて、その辺の女の子より華奢に見えても。相葉さんはオトコだ。
翔さんの前では優しいその顔も、真剣な時には誰よりも男らしくて、きちんとしてる。
だからって、そこまでストレートじゃなくても良いと思うんだけど、その辺の加減が出来ない所も、相葉さんらしいなあとか、思ってしまう。
これは、ごまかせない。
いや、言いたくないことを言わないためにも、言えることは言った方がいいなって、判断した。
「いるよ。なんで?」
「時々、すごい色っぽいから」
「はあ?」
「くふふ」
楽しそうに笑う相葉さん。
あー、失敗したって、やっぱり思った。