「なに?どうしたの?」
急に俺を抱き寄せて、そんな事言って。
不思議に思って聞いてみれば
「お前はなんで、あんな可愛い顔すんだ?みてみろ、翔くんも相葉ちゃんも顔赤くして、照れてんじゃねえか」
「は?」
「は?じゃねえ」
「ニノちゃん、そこはごめんねって言うところだと思うよ」
「ニノ。そうした方が良い」
「へ?」
なんなの?普段は俺の味方をしてくれる事の多いふたりが、結構真面目な顔して言ってくる。
なんかイマイチ納得いかないけど、とりあえず謝っておくことにしようかな。
「さと、ごめんなさい」
ぺこっと頭を下げて、顔をあげたらさとしがじーっと俺を見てて
「もーいい。おいらが諦める」
「おーちゃん、仕方ないよ」
「智くん、がんばって」
なんかよく分かんないけど、またなんかダメだった?
まあ、いっか。
さとし、諦めるって言ってるし。
そう思ってニコっと笑ったら、3人が一斉にため息をついた。
『3.2.1...あけましておめでとうーーー』
カーナビでテレビを見ながら、アイドル達が賑やかに年越しのカウントダウンをするのに合わせて、男4人で車の中で一緒にカウントダウンをする。
ハイタッチをして、おめでとーって言い合って。
こんな風に賑やかな年越しは、いつぶりなんだろう。
両親がいた頃も、家族での年越しでこんなにはしゃいだりはしなかったし。
そう思うと、学生時代に友達とカラオケで年越しとか、そのまま初詣行こうなんてしてた頃が、1番賑やかだったのかなあなんて思い出したりして。
それでも、このふにゃっとした笑顔で俺を優しく見てるこの人のそばが、1番幸せを感じるし、1番ワクワクする。
この人はまるでびっくり箱。
俺の知らなかったことを沢山教えてくれて。
沢山経験させてくれて。
いつも俺を次のステージに連れて行ってくれる。
俺、まだまださとしになんにも返せてないと思う。
だけど、そばにいることが1番嬉しいって言ってくれたから、そばでさとしを支えながら、少しずつ成長して、あなたが俺をびっくり箱って思ってくれたらいいな。