俺がお腹を抱えて笑ってる間に、相葉さんがお茶を入れて、さとしはちゃっかりお茶菓子に用意されてたお饅頭を食べて、すっかりみんなくつろぎモード。
上着も脱がずに笑ってた俺だけが取り残されてて、なんとなく恥ずかしくなりながらコートを脱いでハンガーにかける。
「かず、こっち」
さとしがぽんぽんしてるさとしの隣の座布団に座ると、すぐにお茶が出されて、条件反射でずずっと飲んだ。
どうやらここは小さな客室の様で、今座ってる居間と続きの寝室、トイレと洗面台があるだけみたい。
浴衣は衣桁のしたの木の物入れに4組畳んで置いてあった。
お茶を飲みながら、夏に来た時の日の出の様子なんかを聞いていたら、部屋に仲居さんが来て
「露天風呂が空きましたので、どうぞご案内いたします」
って言われて、みんなで部屋を出た。
鍵はフロントに預けて、そのまま隣合った貸し切りの露天風呂に案内された。
全部で4つある露天風呂のうち、小さな2つを借りたらしい翔さん。仲居さんに言われた通り、使用中の札をかけて、それぞれの露天風呂に分かれて入った。
脱衣場に入る引き戸をひくと、檜の柔らかい香りが漂っていて、心が休まる。
思わず深呼吸してたら、さとしがふふって笑った。
「かず、中はもっといい香りするだろ。早く入ろうぜ」
「うん、そうだね」
ササッと脱いで、脱衣カゴに脱いだものをまとめて入れて、もう一つのカゴに持ってきた浴衣を置いた。
さとしに腰を抱かれて、エスコートされるように露天風呂に出た。
竹垣に囲われた箱庭の様な小さな庭に、張り出すように檜の浴槽があって、手前にシャワーのついた洗い場がある。
庭の左手に小さな石燈籠があって、横には小さな竹が生えていた。
砂利が敷きつめられた庭にお湯が時折流れでて、シャラシャラと音がする。
今日は月明かりが綺麗で、浴槽の上にある屋根の灯りを消しても良いんじゃないかな、なんて思ってしまう。
ほんの少しぼんやりしてたら、さとしにザザーっとかけ湯をされて、サッと身体を洗われてお湯に浸かるように言われた。
大人しくお湯に浸かると、さとしもサッと身体を洗って
「さみいっ」
って言いながら、ざぶんとお湯の中に入った。
檜の浴槽がお湯を軟らかくして、本当に気持ちが良い。香りもふんわりと漂って心底リラックス出来る。
「かず、気持ち良いな」
「うん。気持ち良いね」
「翔くんに感謝だなあ。年末にこんな風にゆっくり過ごせると思わなかったもんな」
「うん。2人だったら、家でテレビ見てゴロゴロで終わってたね」
「な」
「うん」
月明かりがさとしの目をキラキラ輝かせて、なんだかいつもよりカッコイイ気がする。
顔をバシャっとお湯で洗ったせいで濡れた前髪を、後ろに流してたのに、少しだけはらりと額に落ちてきててすごく色っぽい。
雄の匂いが立ちのぼるみたいで、ちょっとクラクラしそう。
そんなこと考えてさとしを見ていたら、さとしが俺の方をパッと見て
「かず.....すげえ色っぽいな......」
って、キラキラ光る瞳で告げられて。
あっ!と、思った時には
さとしの腕の中で、深いキスを受けていた。