「..........ちゃん」
「おーちゃん、おーちゃん!」
「うわっ!なんだよ」
「なんだよじゃないよ。心当たりないの?」
「............」
「ねえ、かずくんの行き先、分かんないの?」
「.............」
「黙ってるってことは、分かんないんだね」
「............」
ヤバイ
雅紀が怒ってる。
智くんは雅紀が話しかける度に機嫌が悪くなっていってる。
チラッと潤を確認すると、小さく首を振った。
潤の芸能界の人脈にも、引っかかって来ないのか。
ニノは友達少ないとか、家から出ないとか言ってるけど、本当はそうじゃない。
ニノを誘う人は沢山いるし、番組のゲストさんはかなりの確率でニノの知り合いだったり、共演経験のある人だったりする。
ただ、他メンバーとも共演してたりすると自分のことは話さないし、1歩後ろに下がる様なところがある。
常にグループが、メンバーが、ゲストさんが優先で、自分のことは一番最後にまわしてる。
そんな所を1度でも見てしまったら、みんなニノの魅力の虜になる。
誘いは多いけど、なかなか出て行かないだけ。
だから潤は自分の親しい人に声をかけて、ニノを探してくれてた。
俺も、自分の人脈を総動員して探したけど引っかかってこない。
あとは、社内の人間だけだ。
ジャニーズの仲間。
可愛がってもらってる先輩のとこか?
最近、仲の良い後輩?
まさかとは思うけど
ほぼほぼ同期のアイツらのところか?
いやいやいやいや、それは無いだろ?
つーか、無いと思いたい。
アイツらが絡んでろくなことになった事がない。
ニノだって分かってるはずだ。
だけどなあ。
雅紀のあの口ぶりが気になる。
ニノの居場所掴んだんだろ?
人見知りのお前がニノのことを聞けるような相手ってことだよな。
うわあ、もう嫌な予感しかしない。
智くんの口は尖りまくってるし、雅紀、それ以上智くんを追いつめるのは止めてくれ。
あとが、怖えよ。
仕方ない。
ここからは別行動する方が正解みたいだ。
とりあえず、雅紀をニノの所に向わせよう。
「雅紀.....先に行ってて。後から追いかけるから。場所はメールしてくれ」
突然の提案に、ポカーンとしてる2人と1人。
ハッと正気に戻った雅紀は、ぱあっと笑って
「しょーちゃん!ありがと!愛してるよ!」
そう言うが早いか、走って行った。
さてと、智くん。
ちゃんとついてきてくださいよ。