「和也、風呂準備出来たぞ」
「あ、本当。じゃ入ろっか」
「おう」
玄関廊下と洗面所の掃除を担当してくれたさとしが、お風呂に呼びに来てくれた。
掃除の後は、お風呂に入って綺麗になってお迎え行こうねって話してたんだよね。
ほら、昨日そのまま寝ちゃったしね。
「あ、これ入れたんだ」
お風呂に入ると、バラの香りに包まれた。
年末のお仕事で一緒になったメイクさんから、これ、すっごくいい香りだから使ってみてってもらったバラの香りの入浴剤セット。
うん。
ちょっと贅沢な気持ちになって良いかも。
「いい匂いだな」
「うん。さとし、ありがと」
「なんもお礼言われるようなことしてねえぞ?」
「ううん。そんな事ないよ」
「そうか?」
「そうです」
そっかーって言いながらお湯にちゃぽんと浸かったさとしを追いかけるように俺もお湯に浸かる。
「あー、気持ちいい。温かいね」
「おう」
「そらとひまわりも今頃お風呂してるかな」
「そうかもなあ。誰が入れてるんだろ」
「誰でしょうね」
「最近、お湯ん中で遊ぶの好きだよな。必ずなんかおもちゃ持って入りたがるもんな」
「ふふ。そうだね。なんか、クマの人形で、お尻から水鉄砲みたいに水がでるのあるじゃん?アレが面白かったみたいなんだよね。2人でかけあいっこしてた」
「それ、面白そうだな」
「もう、さとしがやってみたくなっちゃってるじゃん」
「どんくらい水飛ぶんかなあとか、気になるだろ?」
「ん、まあ」
「だろ?」
棚からひとつ取って渡すと、そらと同じ顔してクマのおもちゃで水を飛ばし始めた。
本当に、可愛い人だな。
ひと通り、色々試して満足したさとしとお互いの背中を流しあって、髪を洗い合う。
こんな時間が本当に幸せ。
ゆっくりお湯に浸かって、キスをしたり話したりしてお風呂から出た。
またしばらく忙しい日々。
さとしとゆっくり過ごせるのは、今度はいつになるか分かんないもんね。
2人の母さん達のおかげで、久しぶりにしっかりリフレッシュ出来た。
さとし、俺たち本当に恵まれてるね。
「さ、そらとひまわり迎えに行こうか」
車の鍵をとって、外に出た。