「ニノちゃん、荷物は?」
「あ。さとしが持ってくれてる」
「そっか。カイロとか持ってる?」
「え?いる?」
「大丈夫!カイロもハーフサイズの毛布もしょーちゃんがトランクに積んでたから」
ニコニコの相葉さんに手を引かれながら歩いて、そんなこと言われて焦る。
俺たち何にも用意してこなかったけど、申し訳なかったな。俺って気が利かないなって、ちょっと落ち込んで。
「なんか、全部お任せにしちゃってごめんなさい」
謝ったら、さとしがぎゅっと俺の手を握りながら言った。
「相葉ちゃんはね、そうゆうの気にしないから大丈夫。翔くんしっかりしてるから、色々準備したのはたぶん翔くんだよ」
えー!やっぱ分かるかあ。なんて言いながら、ニコニコ歩く相葉さんは、本当にご機嫌で。
さとしも楽しそうに笑ってるから、そっか良いのかって思った。
マンションのエントランスに停まってたのは、綺麗なイエローグリーンのコンパクトカー。
街乗りにはちょうど良くて、相葉さんの雰囲気にぴったりの明るい色だった。
「こんにちは.....いや、こんばんはかな?あ、荷物トランクに入れられるもの預かります」
櫻井さんがトランクを開けながら、こっちに挨拶をしてくれる。
お休みの日の櫻井さんに会うといつも思うけど、この人って本当に優等生なんだなあってこと。
着ている服が物語るっていうか、長く着れるきちんとしたお店のスタンダードな物をよく着てて、それが櫻井さんの雰囲気によく似合ってるんだよね。
隣にいる相葉さんが、かなり個性的なおしゃれをしてるから、なんか並んでると面白い。
ただね、2人ともスタイル良くてイケメンだから、モデルみたいに見えるんだよね。
特に相葉さんは、顔ちっさくて手足が長い理想的なスタイルなんだもん。本当にうらやましいよ。
俺なんて背は低いし、腕が短いから大体の服は袖が長いし、色も白いから女の子に間違えられるし。
不思議なんだけど、同じような身長で同じような体格のさとしは、女の子に間違えられたりしないの。
さとしは、手足がスラッとしてるし、細マッチョだから腹筋とか割れてるし、全体的に男らしいんだけどさ。
なんかね、俺ってどうなのよとか.....思う時もあるんだよね。
「和、どうした?」
「へ?」
「や、話しかけたのに返事しないから、どうかしたのかと思ったんだけど......」
「ん。ごめん、ちょっとボーッとしてた」
「大丈夫か?」
「うん。おせち作ってバタバタしてたからかな?」
「えーーー!!ニノちゃんおせち作ったの?」
「うん」
「すげー!!マジですげー!!」
すごいすごいと騒ぎ始めた相葉さんを、スッとエスコートして翔さんが車の助手席に乗せた。
鮮やかだなあって見てたら、パチンとウインクされて
「さ、行こっか。乗って乗って」
って、爽やか王子なスマイルで言われた。