仕事が終わって、病院に駆け付ける。
仕事の合間に、相葉ちゃんが送ってくれたメールを確認してた。
そしたら、もしかしたら自然分娩は難しいかもって、先生が言ってたってのがあって、もうそのあとずっと落ちつかなかくて大変だった。
病院について、急いで病室に向かう。
病人ではないけれど、かずの立場も考えて、俺たちがいつも使わせてもらう部屋にいるって、連絡は来てた。
「かずっ」
かずはベッドに横になってた。
「さとし、お仕事お疲れさま」
「かず、大丈夫か?」
「うん。大丈夫」
「智くーん、俺たちもいるよー」
翔くんの声に振り返ると、応接セットに3人がいた。
「あ、ごめん。相葉ちゃん、朝からついててくれてありがとう。翔くんも、松潤もありがとう。あとメールも」
「うん、おーちゃん。間に合って良かったね」
「そうだな。カズも待ってたからな」
「うん。良かったな」
「間に合ってって?」
会話が少し分かんなくて、質問すれば、ベッドの上からかずが答えてくれる。
よく見れば、額には汗がにじんで、唇は、噛み締めて切れてるところがある。
息も少し荒くて、苦しそうだ。
「さとし......そろそろ分娩室に行くから.....はぁ、待っててね」
「え?ついてちゃダメか?」
「ダメ」
「かず」
かずの右手をとった。
爪が白くなるくらい握りしめてる。
そんなに痛いのか....やっぱりかずのそばに居たい。口を開きかけたとき、かずの左手がおいらの右手の甲をつねった。
ぎゅうううううっとつねられて、あまりの痛さに声が出なかった。
かずを見ると、また唇を噛みしめてた。
思わず手を伸ばして、唇を解放してやる。
「うっ.....つぅ...... はぁ、ふぅ」
「かずっ」
「待っ...てて...お願... いっ」
辛そうなかずを、見てるだけなんて。
でも、かずが待っててねって言うなら待つよ。それで良いか?
「二宮さん、移動しますね」
看護師さんが車イスを持ってきてくれて、かずはそこに乗って移動していく。
おいらも後ろからついていって、分娩室の前の待ち合いソファーに座った。
かずは、手を振って中に入って行った。