来月には、私が始めた事業が3年目を迎えます。出版社にいたとき、大ベストセラーを出しても、その作家の本を毎月出せないため、作家は、翌月は他社へ行き、また、翌々月は他社へ行くという形で本を出し続け、ベストセラーを出した出版社が第二弾を出せたのが半年後ということがありました。そのときにはもう売れ行きも落ち着いてしまったということを何度も繰り返してきました。例えば、大ベストセラーの『声に出して読みたい日本語』(草思社)の著者の斎藤孝さんは、翌月は、角川書店、その次は、文藝春秋と「柳の木の下」の企画で毎月どこかの出版社で出し続け、草思社が再び出版できたのは半年後でした。また、中小出版社が、作家をせっかくデビューさせても、魅力的なメニューを持たないため離れていく例があります。細野真宏さんは、『細野真宏の教科書が面白いほどわかるシリーズ』で中経出版でブレイクしながら、最近では講談社や文藝春秋で類書を出し、中経出版から離れていったようです。作家も食べて行かなくてはなりません。こうした歯がゆい関係を何とかならないだろうかというのが最初の動機でした。もちろん指をくわえてばかりいる出版社ばかりではありません。幻冬舎は、10年くらい前から村上龍さんのマネジメントをはじめています。メディアへの出演や出版などお仕事の申し込みは、出版社の幻冬舎へ申し込みます。担当者がいてコントロールしています。最初は、お抱え作家として敬遠されるのではないかと思いましたが、そんなことはありませんでした。ちゃんと良いリズムでベストセラーを出しています。本を出すことがきっかけで、人間関係ができた作家とお互いにプラスとなる新しい関係、新しいビジネスを模索したところ、「リテラリ・エージェント」というビジネスの可能性が見えてきました。また、現在は、多様化したメディアに対してパーソナル・マーチャンダイジングという可能性も生まれてきました。これが出版社の未来形です。