この1週間、やはり意識しないままに・・緊張感が高まっていたのだと思います。

何だか体調不良を珍しくおこし・・疲れがたまっているのかな?なんて思いながら過ごしていました。

彼がいない1週間だったので、いつものように順番に子供たちが私と一緒に寝ていましたが、長女は「ママが寝るまで私も寝ないから。ママ、疲れているのだから早く寝よう!!」と言ってくれ、「でもやることが沢山あるから」という私の横でにらみを利かせ(笑)・・

彼女に負け早々にベットに入りましたが、時刻はすでに23時半。

ちょっとの間、長女と手をつなぎながら寝た・・そんな日もありました。

 

金曜日、ジレジョンヌと政府の話し合いが進まないまま迎えました。政府は2019年1月からの燃料税の値上げを1年間保留するという発表をしましたが、大規模なデモが土曜日に行われることに。

土曜日は美術館、様々な観光地、デパートなどは閉店。デモが予想される地域では各商店に警察から書類が届き、ウィンドウや入り口の厳重な閉鎖、お店の閉店、とにかく店内の商品が見えないようにすることと通達。

デモの行われる地域を中心にバスやメトロはストップ。我が家のある一帯は車の走行も不可能でした。

デモ隊が、日曜日から流通トラックの封鎖をすると発表したため、スーパーマーケットには見たこともない人の数。

結果的にはトラックの封鎖はされないことになりましたが、私も不安がる子供たちのために、水やちょっとしたものを買いに行きました。

顔なじみのスーパーの店員さんたちが、「こんな状況は見たことがない」と戸惑っていました。

通常、3時間以内の配送がこの日は5時間以上はかかると言われました。

息子を水泳クラブに送り、そのまま友人ママに託します。

週末2日間、試合があるのですが、家にいたら一歩も外に出られません。

息子は友人宅から試合会場へ。「ママはメトロが動いたらすぐに駆けつけるからね!!」

大急ぎで家に戻り、車を路上パーキングからアパルトマンの中庭に移し、ピュイックの散歩を済ませ、22時には玄関のカギをしめ、通りに面した雨戸を閉めました。

普段はよく眠れる私ですが・・何度も何度も目が覚めました。

朝になれば、出張から彼が戻ってくる!!という気持ちと、明日になるのが不安という気持ちです。

 

土曜日、早朝に空港につぃた彼は問題なく7時半には自宅に戻りました。

空港近辺も通れなくなるかもという噂もあったので心配をしていたのですが、ホッとしました。

「でも、大通りは全て、通行人は全て荷物検査をされていたよ」と。

先週よりも多くの警察官が出動しています。

午前10時、閉め切っていた雨戸を彼が全部開けました。外の音も聞こえますが・・・思っていたより静かです。

ヘリコプターの音もしません。

「今日は多分、問題ないよ。このまま静かな1日になるといいね」

気持ちが明るくなり、もしかしたら息子の試合にも行けるかも!!と期待もしていました。

さあ、そろそろ昼食の準備をしようとキッチンにいると、彼の大声が。

「すぐに雨戸を閉めろ!!」

娘たちと駆けつけ、開けた雨戸をまたすぐに全部閉めます。

通りの先から大勢の人が歩いてくる音、それに続く車の音、歌声、大声・・・・

雨戸の隙間から通りを見ます。黄色いベストを着た人たちが歩いています。

不安が増してしまうので見ないようにしていたテレビをつけました。

 

すぐ先の大通りが映し出されました。催涙ガス、黒煙、武装した警官、爆発音,炎・・・・

見たことのない光景です。通りのすべての建物の雨戸はしっかりと閉められています。

石畳の石がはがされ、投げつけられています。

爆発音はここまでもよく聞こえます。音はだんだん大きくなります。先週よりも数が多い。

彼と上の階のパパが大急ぎで階下に降りました。私は手が震えてきました。

アパルトマンの入口の大きな木の扉を内側から車でおさえるために。もし、誰かが何かの拍子にこのドアを開けて入ってきたら・・・

外から誰も入れないように車でおさえました。

泣き出した次女。すぐにキッチンに連れていき、昨日から約束していたティラミスを作ることに。

「卵と、マスカルポーネ、ちょっとのお砂糖と、カフェと・・・」自分の声が妙にテンションが高いのが分かります。キッチンは通りから離れた場所にあるので扉を閉め、大音響でクリスマスソングを流しながら準備を始めました。

でも、家の前の通りの様子が気になります。

「ちょっと待っていて」

向かいのアパルトマンの住民も窓から通りを覗いています。

ものすごい数の人がこの細い通りに・・・。

催涙ガスから逃れるように走っている人、目をおさえているひと、具合が悪くなり壁に寄りかかっている人。

ふと、向かいのアパルトマンの入口がほんのちょっとだけ開いていました。

そこにデモ隊が次々と流れ込みます。

窓からのぞいてますが、その様子に気づかない向かいの住人に身振り手振りで教えます。

私はすぐに自分たちのアパルトマンの管理人さんに、向かいの管理人さんに連絡をしてほしいと伝えました。

何処かに停まっていたいたバイクが通りの真ん中に持ってこられました。

燃料タンクを探しています。そこに火をつけるようです。

彼は上の階のパパと電話でやり取りしながら「これはまずい」と言っています。

バイクに火をつけるのに手こずっているうちに、我が家の目の前の場所に駐車されていた車に火がつけられました。

ものすごい勢いで火が上がっていきます。

向かいのベランダの窓ガラスに炎がうつっています。




長女がベランダに出ようとするたび、私たちは絶対に姿を見られないようにと声を荒げました。

あまりの火の勢いに彼が焦っているのが分かりました。このまま爆発をすれば・・・・

すぐに消火器を持って消しに行こうとしたときに消防車が到着。

まだ通りには多くのデモ隊がいます。

そこにいる人たちが車が燃える様子をスマートフォンで撮影し、成り行きを眺めていました。そして・・笑っています・・・

爆発音はやみません。

また2棟先の建物のまえでも何かを燃やそうとしています。破壊しようとしています。

デモ隊は・・・30分ほど通りにとどまっていたと思います。

また少し静かになりました。

次女を一人キッチンに残していたので大急ぎで戻り、作業再開。




冷蔵庫に出来上がったティラミスを入れて、「後でココアパウダーをかけようね」とホッとしていたら・・・

 

今度はカスールと呼ばれる集団が通りに流れ込んできました。

カスールとは辞書によるとテロの際のプロの破壊者。

完全にこのテロに便乗し、この状況を楽しんでいます。フランス全土から集まってきていると言われています。

私はずっとそばで見ていたわけではなく、多くの時間を泣いて、震えている次女と過ごしていたのですが、たまたまこのカスールの暴動を見ていました。

一人の若い男性が梯子をもって走っています。

追跡してきたパトカーに向かって、梯子をもったまま突進していきました。

パトカーはものすごい勢いで後進。

通りの先では爆発音がやみません。大声が聞こえます。雨戸を閉めたいという私に「変に動かないほうがいい」と彼や上の階のパパが。

 

一日中、家にこもっていたので外の様子は全く分かりません。

テレビのライブ映像でボルドーでも大規模な暴動があったことが分かりました。

勿論、パリ市内でもあちらこちらで暴動はおきています。

テレビの生放送では報道しきれないほどの数です。

 

多くのお店やレストランはべニア板でお店のガラスなどをふさぎました。

金曜日に八百屋さんに行きました。

「ちょっと明日のことを考えると・・」と言うと、お店の方が言いました。

「マダム、明日は僕たちはお店の前にいますよ。破壊しようとするやつらがいたら、そうはさせませんよ。隣のカフェも、ここ一帯のお店はみんなで団結して自分たちのお店とこのカルティエ(地域)を守りますよ!!」

「とにかく、怪我などしないように」

それしか言えません。

 

燃料税増税に反対するジレジョンヌというデモ隊ですが、今では単純にそれだけではなく、様々な思惑が重なり、打倒マクロン政権となっているのだと思います。

こんな暴動はフランス人の人たちも見たことがないと。

真面目に働き、真面目に税金を納めている人たちが月末には明日のパンをも買えない状況になるのはやはりおかしなことであり・・でも長年その問題は放置されてきました。

全ての問題は一面からではなく様々な角度から見て判断をしなければならないのですが、フランス人たちと大議論になり、それこそ意見が違うことにより言い合いになることもありますが、やはりそのざまざまな意見をここで紹介することすら難しい。それだけ様々な問題(移民の問題も大きな一つですね)を抱えていて、今回のデモ、暴動につながってしまったのです。

ただ、今回、デモが暴徒化したことは・・・それほどまでに怒っているのだからという納得の仕方にはなりません。

 

これからマクロン政権はどう対応をするのか?

その場しのぎの対応ではなく、積み重なってしまった多くの問題をひとつずつ解決をしていくためにどうするのか?

 

我が家の土曜日の1日のごく1部を書かせていただきました。

 

どの国にも抱える問題があり、納得できないことがあります。

 

金曜日の夜、私が一人でぼ〜〜っとしているときに、声を出すことのないピュイックがずっとそばでキュンキュンないていました。

 

フランスも今、日付が変わりました。

まだちゃんと街中のイルミネーションを見ていないので、今週は見られたらいいなあと思っています。

どうぞ皆様、良い1週間を!!