前回のブログで穏やかに過ごせることが出来れば・・
と書きました。
勿論、この土曜日にも“ジレ ジョンヌ”(黄色いベスト)の大規模なデモがあることは知っていました。
でもさすがに1週間前のような暴動は今回は起きないだろうと思っていたのですが・・・。
予想外の大暴動が起きてしまいました。
すでに日本でもニュースで映像が流れていることと思います。
“ジレ ジョンヌ”とは自動車燃料税増税に反対する運動です。
特に自動車での移動を余儀なくされる地方で大きな反対が起きているということでした。
金曜日の夜、息子の水泳仲間が我が家に泊まっていました。土曜日お昼からの練習に私は車で連れていくつもりでした、いつものように。
道路状況を調べるとすでに午前中から大通りのいくつかは封鎖されています。
回り道をすれば車で行けますが・・・もし何かあったときに身動きできなくなると思い、メトロでいくことに。
彼は「メトロだったら、子供たちだけで行けばいい」というのですが、状況が状況なだけに・・・一緒に行きました。
駅に向かう途中、黄色いベストを着た人たちとすれ違います。
メトロのホームではさかんに現在乗降のできない駅の名前が案内されていました。
練習が終わり、またメトロに乗ろうと思っていたら家にいた彼や長女から次々に緊急メッセージが。
「○○パン屋さんの前の車が燃やされている」
「○○通りは歩かないように」
「○○通りはアルコールを飲んだ人たちが沢山いるから・・避けるように」自宅からいずれも徒歩5分圏内。
涙が出てきました。
思わず「パリは美しい街で、多くの人たちにとって憧れであり夢の街なのよね。こんな乱暴なことがおこるなんて・・」とメッセージを送っていました。
近所の駅から自宅までの間、朝には見かけなかった光景が。
何台かの車の窓ガラスが割られていました。キオスクの看板は乱暴に外され・・・
怖がる息子の手を握りしめながら、足早に家へ。
自宅から徒歩2分の大通りでは車30台が燃やされました。
息子が窓から通りを見たとき「ママ、通りの車の量が減っているよ。うちの車も中に入れないと」
フランスでは路上駐車が出来ます。
我が家のパーキングは路上です。勿論、白線内の指定の場所に指定の金額を払って駐車しています。
大家さんに話をし、すぐに車をアパルトマンの敷地内にとめさせてもらうことにしました。
自分たちの車に火をつけられるのも嫌ですが、火をつけられたことによってほかの車やモノに引火し、ひいては建物に火がついてしまうという惨事を防ぐためでした。
正直・・・恐怖でした。
ヘリコプターは上空の低い位置で飛行していて、緊迫感を感じます。
時々、家のなかにいても爆発音が聞こえます。
急に車の防犯ブザーの音が聞こえてきました。
窓を開けて通りをのぞき込むと、すぐに焦げ臭い匂いが。ちょっと目を移したその先でもくもくと煙があがって車が燃えていました。
歩いて30歩くらいの所です・・・
通りの管理人さんたちが通りに飛び出し、上からのぞいている私たちに「通りに出ないように!!」と声をかけてきました。
消防車が一方通行の道を逆走しています。
普段は見ないテレビにくぎ付けになりました。
ライブ映像に写っているのは・・
「ここはパリなの?」と目を疑いたくなるような光景。
その中で近所の大通りがなんども出てきます。
いつも通る通りの立ち並ぶお店のウインドウが割られ、
車が燃やされ・・・
友人の住むアパルトマンには、警護が必要な方が住んでいるらしく、24時間、警官が常駐しています。
その友人のアパルトマンの前の大通りは車でバリケードが作られ、車が燃やされ・・・
隣のアパルトマンには石が投げ込まれ、その場所にさらに火が投げ込まれました。
警官が自宅に来て、できる限り窓のそばに行かないようにと注意されたそうです。
また常駐している警官には、ちょっとでも敷地内に無断で入るものがいたら・・・銃を使用して良いという指示があったそうです。
凱旋門の壁には落書きがされ、モニュメントが壊され・・・「ママ、フランスの歴史を彼らは破壊しているよ」と子供たちは涙ぐんでいました。
次女は、移動手段がなく水泳の練習に行けなかったり、お誕生日会がキャンセルになりました。
長女は日曜日の夜に、友人とコンサートに行くことにしていましたが「ママ、お金が無駄になってしまうけれども・・・行きたくない。怖い」と。
「勿論よ。遠いし、楽しみにしていたから残念だけど・・・怖い気持ちをおさえていくことはないのよ」
彼は昼間、海外からいらしている方とビジネスランチがあり、外出をしました。
タクシーで移動をしていたのですが、ナタを持った男性が商店の窓ガラスを割ろうとしていたようです。中々割れずに大声を張り上げ・・・形相はみるみる恐ろしく変
わっていき、ついにガラスを割った時にはそのまわりにいた人たちからも歓声が上がるという光景を目のあたりにしました。
その光景は映画で見るような狂気の世界。
彼は仕事でもあったので、きちんとした格好をしていたのですが、今、自分がここで車から降りたら、自分が攻撃の対象になるという恐怖を感じたそうです。
朝からやむことなく続いていた爆発音やサイレンの音は今は全く聞こえません。
このブログを書いている今、時刻はフランス時間で日付が変わったところです。
日本は朝ですね。
なんと友人がシャンゼリゼに22時半に行ったときの写真を送ってきました。
車も人もなく、静かなシャンゼリゼに戻っています。
私たちもそうですが、せっかく観光でパリを訪れていた方たちにとってはとても大きな衝撃の1日だったと思います。
私たちもこんなことは初めてです。
暴力に訴えてもしょうがないと思いますが、それほどまでにこの増税によって生活がひっ迫していくという訴えでもあり・・・
きっと月曜日からまたいつもと変わらない日常が戻ってくるのだと思います。
2018年もあと1か月で終わり。
1年の終わりを穏やかに過ごせれば、新しい年の始まりも穏やかに期待に満ちてスタートできるような気がしています。
怖がっていた子供たちもぐっすりと眠っています。
パリで何か起こると心配をして、皆さんメッセージをくださるので・・まずはご報告まで。
本当に「大丈夫です!!」とは言い切れない緊張感や怖さはありましたが・・・
今は静かです。
私も寝ます。
どうぞよい日曜日をお過ごしくださいね。