中村だいすけの歌う心理学

中村だいすけの歌う心理学

臨床心理士&シンガーソングライターをしています。心理学&音楽活動日記です♪



本日全国的にも報道された、強制わいせつ、病院内の暴行事件の判決がでました


これまで加害者本人や家族と何度も面接を重ねました

 

8月に保釈されてすぐ来所しましたが、公判まで時間がなかったので、営業時間が終わった夜中に分析の面接を行いました

 

今回の事件では、周囲との意志疎通、助手という立場ながら主犯格とされている点など、いくつかの問題が生じており、数人の弁護士にも相談しました

 

様々な専門家と協議し、これまでの判例を研究して計算し、求刑は恐らく7年、刑は36か月~46か月の間で推移するだろうという予測もその通りとなりました(病院事件を4年、性犯罪事件を3年、合計7年で求刑され、病院を主と考えて懲役2年、残りの性犯罪が求刑の半分の1年半になり、計3年半~という計算。これに様々な要因を足して4年半くらいまでは想定し、それより重い判断になる場合控訴する判断となる)

 

本人が当初述べていた発言は、罪悪感と不安と緊張の中での語りとなっており、「緊張してしまって何を喋ってるか分からない」と語っていました


このまま判決を迎えてしまっては、本質的な改善にはならないと感じ、どう思っているのかについて確認していきました

 

刑務所で性犯罪再犯防止指導を担当していましたが、令和2年発表の性犯罪の再犯率はプログラムを受けた者の再犯率は15%、未受講者は22.5%となっています

 

詳しい過程は省きますが、公判では、多くの被害者や社会のためにも“真実を語り、本当の意味での反省の弁を述べる”という態度で臨むように心理教育を行い、被害者の視点やなぜ加害をしてしまうかについて、分析した結果を伝え、落ち着いた状態で証言できるように面接を重ねました


別の担当していた裁判の傍聴もしてもらい、本人の知能検査や心理検査の結果からも、言語的に組み立てて論じることができないため、質問で見識を問われた際、分からないと思うことは正直に分からないと述べ、真実を語るようにしました


公判では分からないところは分からない、反省している点は反省し、自分がなぜ犯行に至ってしまったのか、今はどう考えているのかを、しっかりと自分の考えで語っていました


今日の判決では「主導的に行っていないとしても、犯行を助長していた」という点で言及されており、納得のいく内容であったと思いました

 

動画撮影と加害の実行者とどっちが主導といえるのかについて、主導ではなくても関与している点では、その後の犯行を助長していくとして重くとられたということになります


これは今後の動画撮影をする事件の一つの例になっていくかもしれません


その後、謝罪文、示談、心理教育プログラム、保護者の監督等を考慮して実刑判決4年となりました

 

判決内容や量刑に納得できない場合は控訴も検討していましたが、今回はきちんと向き合い、自分の意思も伝わり、本人も家族も受け止められる判決であったと思うためこのまま刑を勤めていく覚悟を持っていました

 

最後に法廷で声を掛けると「ありがとうございました。手紙送ります。頑張ってきます」と力強く話していました

 

お母さんの相談も受けていたので、「本当に先生がいてくれてよかったです」と涙ながらに声をいただき、「今後出所してからも再犯防止の取り組みは続きますので、これからです」と話しました

 

本人が起こした数々の事件は決して償いきれるものではありませんが、怯えていた状態から、きちんと向き合った状態で公判を迎え、受刑中の生活態度についても指導して、判決を迎えることができたのではないかと思います


再犯率は決して低くはないため、手紙を通じて気を引き締めてもらい、今後出所してからも更生に向けた取り組みを継続していくことが大切です

 

 

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連日朝6時~夜0時まで動き回り、全く隙間がなくなってきました

今日は朝から神出病院事件の加害者の心理分析、午後からは監護者性交等罪の心理分析で合議制の裁判に出席、合間に公認心理師の動画問題作成と、タクシー飛ばして市役所周りの事務仕事で駆け回り、夕方からはカウンセリングというハードスケジュールでした


神出病院の事件は全国的なニュースにもなった事件で、加害者を隠すように横を歩きましたが、スローモーションで顔を撮影されてました

裁判では、分析レポートを数十枚作成しますが、専門家として報告するだけではなく、加害者本人にも目を通してもらい、自分の犯罪行為に至るメカニズムを理解するために活用し、内省が深まった状態で証言を行います

見通しの甘さや発達的な特性を持っていたり、背景にコンプレックスがあったりすることは責任能力や量刑を左右することではなくても、犯罪を起こす動機にはなっており、ここの対策をそのまま放置しておくことは、加害者だけでなく、社会のためにもなりません

海外では裁判心理学という学問領域もありますが、法廷の中での証言の仕方、声の出し方、緊張の緩和方法などレクチャーして、動機を加害者本人が自覚しながら語り、自分のことを真に理解してもらった上で刑罰法令を定めてもらうという手法で関わっています

これまで何度も事件の分析を行ってきましたが、単純に「性欲が強くて」「被害者への気持ちがわからなかった」など述べるだけの方もいます

また裁判自体も、法廷戦術的な流れをしていて、当事者から引き出される本当の動機がベールに包まれてしまっていると感じることも少なくありません

動機を理解した上で裁判に臨めるようにしていくと、その後の受刑生活への動機付けが変わります

これは手紙のやりとりなどを通して分かるのですが、深い視点を持ちながら受刑生活を送ることができます

真実を解明できないままに事実のみで決着がついてしまい、再び同じような事件を起こしてしまうことのないように、今後も裁判心理学の発展に貢献したいと思います

次は自殺とアルコール依存の記事執筆の依頼が2本来たので今夜も眠れなさそうです
今月は5件の裁判に関わることになり、深夜まで意見書を作成しています


公認心理師の講座も始まり、連日締め切りに追われる中、久しぶりのぎっくり腰にもなりました

先日は法テラスの依頼で伊丹警察で鑑定を行い、専門の心理検査一式を持参し、合計6時間行いました


協力していただき感謝します

本日の裁判では警察の面会時から関わり、家族へのフォロー、その後の心理教育まで行い裁判に臨みました

警察への面会を行うことで、家族から聞いていた心証とは異なる真意がわかり、それをご家族に伝えることで、双方の誤解が解け、家族と加害者との再統合を行うことができました

加害を行う背景には家族関係の問題があることもあり、これを中立的に聞きながら調整していくことで、加害を行うエネルギーが消失してしまうこともあります

残り3つの公判がまだ控えてますが、どれもかなり重い事件で、動機の解明、真相究明の手がかりとなるように、ギリギリまで分析を行いたいと思います