2023新種牡馬のご紹介 後編 | NAKAMEの中央競馬重賞予想

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今回はタイトル通り2023新種牡馬のご紹介後編でございます。前編はこちらからどうぞ。

 

 

今回のトップバッターはブリックスアンドモルタル。ニューイヤーズデイと同じく社台SSに海外から導入された種牡馬で、ノーザンファーム生産数ではニューイヤーズデイより少ないが、全体の種付け数と血統登録数ではこちらの方が上回る。北米から来た馬だが現役時代のGⅠ5勝という実績は全て芝で築き上げたもので、最近の北米から導入された種牡馬としては珍しい芝タイプ。ポケモンみたいですね、芝タイプ。父ジャイアンツコーズウェイは派手さはないが先行し堅実で勝っても負けても小差の競馬をする産駒が多い。しかしブリックスアンドモルタルはアエロリットと対戦したペガサスワールドカップターフなどを見てもわかる通り、先行馬というよりは中団から脚を溜めて弾けるという競馬をする馬で、父の産駒らしからぬタイプだった。ブリックスアンドモルタルの血統を見た時にまず目に入るのはストームバードの3×3。そして母はプリンスジョンの4×4で母方にはヴェイグリーノーブルが入る。ストームバードのスピードが決め手に、プリンスジョン、ヴェイグリーノーブルのスタミナや持続力が芝の中距離馬へと昇華させたのではないか。日本にいるストームキャット持ちの種牡馬で言うとヘニーヒューズやドレフォンがいるが、この辺と比べるとかなり違った成績になってくるのではないか。恐らく芝の中距離辺りがメインになってきそうで、ダートは下級条件ほど買いやすいかも。産駒の血統的な傾向を考えると、やはりストームバードの3×3が目立つので、まずはここを希薄する配合が好ましいか。そういう意味で言うとドイツ牝系や母父マンハッタンカフェ辺りとの相性はとても良さそうで、1/4非ノーザンダンサーを狙った配合は一つ注目したい。母父ディープも当然走ってくるだろうしクラシックを狙ってくる距離適性になってくるだろうが、牝系自体はスタミナがかなりあるので、母父ディープの繁殖牝馬の場合はマイラー牝系出身である方がバランスがいい。ドイツ血統、マイラー牝系。この辺がキーになる種牡馬になっていきそうだ。

 

今年の新種牡馬勢の中でダート系を担うのはモーニン。父はヘニーヒューズで母父がディストーティドヒューマー。現役時代はフェブラリーSなどを制し、現在ヘニーヒューズ産駒の中では最も賞金を稼いだ馬となっている。コジーンを入れたヘニーヒューズ産駒という事でこの辺はアジアエクスプレスとも重なるところだ。父ヘニーヒューズ自体は5代内のクロスがないというアウトブリード気味の血統だが、モーニンは母がミスプロの3×4でクロスの煩いタイプだった。アウトブリード気味の父にクロスの煩い牝馬をあてがう極めて真っ当な配合例で、母も5代内クロスがないアジアエクスプレスとはこの辺が少し違う。アジアエクスプレス産駒でOP入りを果たしているメディーヴァルは祖母がノーザンダンサーの5×5・5という馬で、牝系を遡っても代々クロスが煩い血統だった。つまりアジアエクスプレスはこういった5代内にクロスがあるような繁殖との相性がいいと言えるが、モーニンは自身がそういう配合なので、ストームキャット系必殺のニジンスキーを入れるニアリークロスが成功するかは何とも言えない。ストームキャット、コジーンから受け継いだナスキロ血脈を存分に生かしたスピードを持つ馬だったので、ニジンスキーでそこを弄るよりもデピュティミニスターを入れてフレンチデピュティ的な頑丈さを補強する配合の方がダートを主戦場することが多いだろうからハマる可能性はある。アジアエクスプレスがディープ系と好相性なのはアウトブリード血統だからという側面もあったはずで、この辺はかなり差別化されると思う。種付け頭数はレイデオロに次いで2位とかなり多いが、この手のパターンは結構地方が主戦場という事もあるので、頭数が多いから優秀な成績を見込むというのはちょっと違うかも。

 

今回のラストを飾ってもらうのはサンダースノー。現役時代はフランスを始めとする欧州とドバイ、アメリカで活躍し芝とダートのGⅠを勝った国際的な芝砂兼用のオールラウンダー。基本的にはマイラーだがドバイWカップを連覇したように最終的には2000Mにも対応した。父Helmetはデインヒル系の血を引いた豪州のマイラー。母方の親戚には昨年のセントジェームズパレスSを勝ったCoroebusがおり、5代母は名牝A Wind Is Risingなのでストーミングホームやミスティックガイドも同じ一族の活躍馬。日本で言えばジャックドールもこの一族出身。ダーレージャパンはこの馬のほかにもホークビルが新種牡馬として今年デビューするが、ホークビルは種付け頭数が95頭。対してサンダースノーは152頭と頭数は60頭弱多く、期待値の高さが見て取れる。血統を見てみると、ヌレサドの継続クロスが目に付くが、サンダースノーの母イースタンジョイはヌレイエフの2×4というなかなかなクロスを持っていて、更にプリンスジョンも4×5。更に父Helmetの母はミルリーフの2×5、父父Exceed A nd Excelはノーザンダンサーの3×3で父父父デインヒルがNatalmaの3×3。このようにどこを取ってもまークロスばかりが入った血統。だからこそマイラーとして頑丈なポテンシャルを秘めていたとも言える。ヌレサド継続クロスの頑丈なマイラーで非サンデーという血統なので、まずはやはり産駒はサンデーの血を入れてあげることが必要になってきそうだ。そしてこれだけマイラーっぽさを出せる血統だからこそ相手の繁殖牝馬には中距離のちょっと緩さのあるタイプを持ってきたいところで、サンデー系の中距離牝馬との相性はアベレージとして上がってくるかもしれない。また牝系の特徴としてナスキロ血脈との相性がいい。ナスキロ血脈を入れるとマイラー的になりそうな気もしなくはないが、そこまで外れも出ないだろう。また自身は芝ダート兼用だったが、産駒はダートも走りそうだが基本は芝向きが増えてくるのではないか。個人的には結構期待値の高い馬で、ゴドルフィンの手癖足癖っていう血統だから取扱注意なところはあるけど頑張ってもらいたい。

 

そんなわけで前回含めて計6頭の新種牡馬の紹介でした。最近は新種牡馬の勢い凄いですからね。今年も目覚ましい活躍を期待しております。