2023新種牡馬のご紹介 前編 | NAKAMEの中央競馬重賞予想

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オークス、そしてダービーが終わると翌週からは遂に2歳戦が始動。2歳戦で毎年話題になるのはディープ産駒、ではなくて新種牡馬。2022シーズンの新種牡馬トップサイアーに輝いたマインドユアビスケッツは初年度から海外重賞勝ち馬を出すなど活躍。一方でサトノダイヤモンド、リアルスティールといった大手期待のディープ後継は少し躓くような形に。果たして今年はどうなるのか。前編と後編の2つに分けて、2週にわたりそれぞれ3頭ずつ計6頭をご紹介。今回は前編。それではやっていきましょう。

 

 

今年の新種牡馬で種付け数トップだったのは2017年のダービー馬レイデオロ。ここ数年は新種牡馬でも200頭を超える事が多かったが、今年は久しぶりに200頭を割ったので、この辺からも馬産地がディープキンカメドゥラメンテ亡き後、どうやっていこうかという苦悩が見て取れる。レイデオロはそのキンカメ産駒でディープインパクトと同じ牝系出身というある意味ハイブリッドな血統。初年度の種付け頭数は196頭でトップとなり、ノーザンファーム生産の馬も39頭、血統登録された馬の3割がノーザンファームの馬という事でこの2つも新種牡馬勢の中ではトップの数字となる。レイデオロを父に持つという事になるとウインドインハーヘアが4代目に入る事になるが、そうなるとやりたくなってくるのはやはり母父ディープとのウインドインハーヘアの3×4クロス。この手の配合は2歳馬を見てみても取り入れている馬は多くて、待ってましたという感じなんでしょうな。このウインドインハーヘアのクロスは注意点としてサイズが一つ挙げられる。ディープインパクトがキレキレの脚を使えたのはウインドインハーヘアが持つアルザオからサーアイヴァーの血を引いた事も大きかったと思っているが、サーアイヴァーは短所として非力な馬や馬格の小さいを出すことがある。ウインドインハーヘアの3×4という事はサーアイヴァーの血をクロスさせることでもあって、特に牝馬は非力な小柄系が出る可能性は十分ある。同じことがカナロア×ディープでも言えるが、これは留意しておきたい点だ。祖母レディブロンドの子供たちは、総じて芝向きが多いウインドインハーヘアの一族の中でもとりわけダート巧者が多くて、レイデオロのいとこゴルトブリッツはダートGⅠ馬。これはレディブロンドがシーキングザゴールドを噛んでいることが影響していると見られ、そこに父がキングカメハメハだから恐らく産駒は芝ダート兼用というタイプがかなり出てくるはず。レディブロンドはシーキングザゴールドからスピードも受け継いだので母方がマイラーなら短距離馬も出しそうだし、クラシックに殴り込むならむしろ中距離肌の繁殖の方がいいかもしれない。キンカメ持ちは総じてトニービンとの相性は抜群なので、トニービンを入れる配合は一つ有効手になるだろう。母父ハーツでハイペリオン的にするのか、母父ディープで3×4を狙うのか、この辺は色々と特色が出そうだ。牝系を考えれば京都との相性もありそうな感じで、この辺は既にYouTubeで公開された動画を見ていただければ。芝ダート共にこなす万能型種牡馬になっていくと推測している。馬体に関しては肩と繋ぎをチェックしたい。

 

海外から導入された種牡馬で最もノーザンファームの生産が多かったのはニューイヤーズデイ。 父はストリートクライで母父がディキシーユニオン。海外では降着劇で話題になったマキシマムセキュリティの父としても知られ、既に活躍馬を出している。血統を見てみると、全体的にノーザンダンサーの血が薄めで日本で主流になっている血統をほとんど持たない。そういう意味ではディープ、キンカメなど幅広く種付けできるのがメリットの種牡馬で、サンデーのクロスが入るような繁殖との配合というのは増えてくるかもしれない。逆に言えば特色を出すのが難しい種牡馬という感じもしていて、この辺は方向性をハッキリと示す必要がありそうだ。ストリートクライはトニービン持ちとの相性の良さが傾向としてあって、この馬も母父ハーツクライやルーラーシップなどとは相性が良いかもしれないし、母方にトニービンが入るエアグルーヴ、グレースアドマイヤ牝系は活躍馬が出てくるかもしれない。またストリートクライの代表産駒といえばアメリカのゼニヤッタとオーストラリアのウィンクス。どちらも牝馬でニューイヤーズデイの母も北米重賞勝ち馬と牝馬の活躍馬が目立つ。ストリートクライの後継種牡馬ストリートセンスも日本ではファッショニスタが活躍しやはりこちらも牝馬から代表馬が出ている。となるとニューイヤーズデイでも牝馬が走る可能性は当然高そうだし、クラシックに乗っていくような馬は牝馬から出るかもしれない。牡馬はダート中距離、牝馬はダート芝でマイルという傾向になる可能性も。やや四肢が短くコロッとしたマイラー体型で基本的にはマイル近辺が好走ゾーンになるか。ただサンデー×トニービンなどの緩めの繁殖と配合すると1800ぐらいがベストになる気もしていて、それこそこれはマキャヴェリアンの血をどうやって引き継ぐかというところにも掛かってくる。繋ぎが短すぎるという事はないが、馬産地では柔軟な動きが目立つと評判で、こういったところがマキャヴェリアンを受け継いでいるかの一つの判断目安となるかもしれない。道悪は基本的に苦にしないと思う。

 

今回のラストはカリフォルニアクロームを取り上げてみたいと思う。実はカリフォルニアクロームはあまり評判になっていない種牡馬で、北米3冠馬という実績を持ちながら日本に来たのはアメリカで芳しくない評価だったという側面もあったりする。カリフォルニアクロームの血統を見ると父はLucky Spellの牝系出身で近親にはアンブライドルズソングがいる名牝系。母はDance Number≒Polish Numbersの2×2と強烈なクロスを持っていてこの辺りが底力となっているが、牝系自体はちょっと柔いというか軽さもあって、この辺がちょっと嫌われているのかなという印象。ただサーアイヴァーやヴェイグリーノーブルを持つという事はディープ系牝馬はこれをフックにアンブライドルズソング牝系の父も相まってかなり相性のいい配合になるんじゃないかなという気がするし、カリフォルニアクローム自身、6頭立てとはいえ芝のハリウッドダービーを勝っている。立ち姿なんかを見てみても繋ぎはダートの3冠馬という実績の割には長くてやや寝ている。こういったところを踏まえると、然るべき配合をすれば日本の芝で活躍するような馬は出せると思う。まあカリフォルニアクロームにそこまでの繁殖の質を回してくるかは別としてね。ポテンシャル自体は秘めているのではないか。もちろん基本的にはダートで勝ち上がる馬が増えてくるだろうが、Lucky Spellを弄る配合をしてあげている馬は注意したい。速さのある牝系だけに繁殖には中距離くらいのゆとりを持たせてあげる方が吉かも。

 

 

来週、かはわからないけど後編はまたそのうち。6月中には出します。