かっさんのつづれなるままに736

安倍前首相銃撃事件から二週間近く経ったが、前首相に対する功績をたたえるうねりが静まらない。事件が、参議院選挙終盤の、最も熾烈な戦いの最中に起きたこともあって、民主主義の危機、開かれた言論への挑戦といった思いが根底にあったからであろう。しかし、二週間たってみると、事件の背景に別な側面が現れてきた。ここで思い出すのが、数十年前の謀略ビラである。選挙期間中、党のビラ配布に回ると、それはいたるところで見られた。粗雑な紙に、粗雑な文字が躍るそれは、配布に回る私の背筋を凍らせるほどのインパクトがあった。そのときの記憶には、勝共連合(旧統一教会)とかいった団体がまいたビラであったと刻まれている。文字通り共産党に勝つための団体である。その団体と政治家とは、勝共の一点で癒着したことは当時も報じられていた。その団体が掲げる世界平和には共感するとしても、家族や家庭の平和あってこそのものである。家庭や家族を破滅に追い込んでの世界平和はありえない。そのことを理解した上で、当時の政治家たちはこの団体にメッセージを送り続けたのであろうか。そんなことを考えると、前首相の死を悼むことと、功績とは、区別して考えることは当然であろう。国会で嘘の答弁をして民主主義を壊したのは誰であったか。自民党は国葬というが、それが国葬に値するものであるかどうかも、一時の興奮した感情にとらわれることなく、冷静に判断すべきである。