三島由紀夫氏の憲法観と国防論 (続編) | 中丸啓オフィシャルブログ Powered by Ameba

■日本を取り巻く軍事支出バランスの実態


国防費はGDP比でみてもアメリカ3.5%、ロシア4.5%、韓国2.6%で日本1%と極端に少ない。


日本とほぼ同じ比率1%だったフィリピンも倍増の2%は確保すると宣言している。日米同盟なしでは自国単独防衛が厳しい現状を鑑みれば日本も将来的にはGDPの2%を目標にした増額しなければ近隣諸国との軍事バランスを維持できないと言えるだろう。


アメリカに「核の傘」も含めて自国防衛を大きく依存してきた我が国にとって個別的自衛権のみで日本が「単独平和」という軍事バランスを保つとすれば、およそ5~6倍の防衛予算を捻出する必要がある。


年間20兆円以上の防衛予算は社会福祉を現在の半分以下にしても対応することが難しい予算であることから実際に実現は不可能だろう。


少ない予算で効果的な抑止力を保持していくには、他国と安全保障同盟を結び、国内法整備の上、必要な戦力を整備していかねばならない。


米国防総省は、2016会計年度(15年10月~16年9月)の国防予算案を発表によると、ここ数年間国防費削減してきたアメリカでさえ、人件費や調達費などの基本予算は14年度以来2年ぶりに増額要求となり、5000億ドル(約59兆円)を優に超える見通しだ。


中国やロシアが米国への対抗戦略を進めている現状を踏まえ、米軍の圧倒的優位の維持に向け、主要項目の要求額を大幅に上積みするとみられている。


 国防総省は「米軍の技術的優位を鈍らせようと多額の投資を続けている」(ヘーゲル国防長官)として、中ロを警戒。 


ワーク副長官は「国防支出の減少傾向を逆転させ、新兵器開発への投資不足という問題に取り組む」と述べ、ステルスや精密誘導に続く次世代の軍事技術の開発を目指す方針を表明している。国防総省は、アジア太平洋重視戦略も引き続き推進する構えだ。



■最大の国防は国民の意識改革



これからのあるべき姿として、三島氏の言われた「自衛隊は永遠にアメリカの傭兵 として終るであらう」から脱皮して「自衛隊は自立自尊の精神に立ち、米国、ASEAN諸国とともにアジアに平和維持に貢献する」道を選択することが最善である。



こうしたことを鑑みれば、今回の平和安全法整備は当然のことであり、戦力見積もりを早期に完了し、現実に必要戦力を整備できうるだけの防衛予算を捻出しなければまさに「絵に描いた餅」になってしまう。


他にもROE(交戦規程)の整備やネガティブリストへの早期転換を図らなければ、集団的自衛権行使にあたって現場の自衛隊の指揮は複雑怪奇になるばかりである。


これらのことを進めていくにあたり、最大の課題は「国民の民意」であろう。


法改正、予算承認だけでなく、現場自衛官の士気やその自衛官を送り出す家族の誇りの醸成がなければ、「仏作って魂入れず」になってしまう。その根底を支えるものが、過去の「英霊の声」であり、現在の「国民の声」なのだ。


三島氏は、「愛国心」という言葉に関しては、官製のイメージが強いとして、キリスト教的な「愛」(全人類的な愛)という言葉はそぐわず、日本語の「恋」や「大和魂 」で十分だと提言している。




それこそが今の我が国の国体・国民に必要であるという伝えるべき精神ではないだろうか。「最大の国防は国民の意識改革」によってなされることを忘れてはならない。



氏がその身を賭して残すべきと訴えたその精神の土台は「日本に対する恋心」であり、「大和魂」である。