衆議院厚生労働委員会、衆議院本会議
政府提出「かかりつけ医機能が発揮される制度整備」を含む「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法改正案」審議最終日、質疑、反対討論に立ちました。
その後の採決。
立憲・維新・共産・有志は反対
自民・公明・国民が賛成
以下政府案に反対の理由です。
今年2月、出生数80万人割れという衝撃的なニュースがありました。
政府予想よりもはるかに早いスピードで少子化が進んでいます。
また、人口構造、社会構造、疾病構造の3つの変化により、日常からの予防医療や医療相談が重視され、医療と介護をつなぐ「家庭医」、「プライマリ・ケア医」の充実が求められています。
そして、コロナでは、「国民皆保険」を標榜する我が国において、決してあってはならない「自宅放置死」が発生してしまいました。
少子高齢化・人口減少対策、そして、医療提供体制の改革が急務であることは、誰の目にも明らかです。
しかし、本法案の内容は、技術的な改正が大半を占めており、どこが、全世代対応の社会保障制度構築のか?
明らかな誇大広告、看板倒れです。
そして、本法案の「かかりつけ医機能の法整備」ですが、質疑を重ねても、今と何が変わるのか、全く見えてきません。
コロナ禍で浮きりとなった課題、「かかりつけ医」と思っていた医師に「あなたのかかりつけ医ではない」と診療を拒否された、国民の不満・不安を解消するものには、全くなっていません。
単なる外来機能報告制度の拡充を「かかりつけ医機能の報告」と言い換えた、看板に偽りのある、まさに羊頭狗肉です。
「かかりつけ医」に相談したい国民に更なる混乱をもたらす、誤解を生む法整備と評価せざるを得ません。
「かかりつけ医」の定義を定め、「かかりつけ医機能」の内容を示した上で、法案を再提出すべきです。
そして、出産に対する医療保険適用導入検討という突然の大きな方針転換です。
出産費用への医療保険適用は、これまでも多くの委員が訴えておられます。
しかし、岸田総理は、本法案の本会議質疑でも慎重な姿勢を崩しませんでした。
本法案審議中の突然の公表、ならば、なぜ、本法案に、その内容が盛り込まれていないのか。政府は、速やかに、法案に盛り込んで再提出すべきです。
よって、本法案には、反対です。
出産費用の無償化を初めとする社会全体での切れ目のない子育て支援と、地域におけるプライマリ・ケアを実現し、地域包括ケアシステムの中核となって医療・介護の連携を図り、国民ひとりひとりに寄り添う「国民本位の医療制度」の構築が必要です。
少子高齢化、人口減少という、狭く険しい道を広くなだらかな道にし、国民の皆様に安心して歩んで頂くよう不断の努力をするのが政治の役割り。
何十年も前から人口構造・社会構造が変化することはわかっていたにも関わらず放置し続けた。
自分たちにとって都合のいい立場、利権や既得権益を守ろうする政府与党には、国民本意の医療制度改革、社会保障制度改革は実行できないことが浮き彫りとなった本法案の審議であったことを厳しく指摘しました。
政府案の「かかりつけ医機能が発揮される制度整備」はかかりつけ医は関係ない、ただの外来機能報告。
骨抜きにされた本法案。
我々が示す、
「かかりつけ医の制度化・日本版家庭医制度創設」こそ、国民本意の医療制度・社会保障制度改革に資する内容と確信し、実現に向け、決意を新たにしました。