ついに来たな。
ついに来た。
日本に帰る日が。
って言っても台湾経由で台湾に１日滞在することになる。
日本に着くのはもう少し後。
荷物を抱えて駅に向かう。
ほとんどの荷物はヤマト便ですでに送ってる。
それでも肩に食い込む荷物。そしてギター。
やっぱりバックパッカーとして続けなくて良かったな（笑）
こんな状態ではやってられなかったな（笑）
電車に揺られてガトウィック空港を目指す。
心はとても穏やか。
もう、今までみたいに知らない世界に飛び込むこともない。
全て知っている世界。
５時間ほど前に空港に着く。
もうやることもないししたい事もない。
ポッケに入っている残り少ないポンドコインでコーラとポテチを買ってロビーで体を揺らしてギターの練習をする。
旅の間ずっとやってきた日常。
それなりに上手くなったよな…。
それなりだけど、上手くなった。
未だに全く痛みの引かない左手を見る。
それでも動くことがとても嬉しい。
事故に遭ってそれこそ体に障害が残ってたらって考えるとやっぱりとても恐ろしい。
ギターの弾ける体で日本に帰れる事を嬉しく思う。
体さえ動くのであればまた旅は再開出来る。
登場時間が迫ってきてそのまま飛行機の中に吸い込まれていく。
日本からロンドンまで、なんだかんだで一年半掛かった。
街に着いてギターを弾いて、街に着いてギターを弾いて、街に着いてギターを弾いて。
そんな単調な暮らしを続けながら少しづつ距離を重ねてたどり着いた場所から、飛行機に乗る。
一瞬だよな。
空を飛べば日本になんてあっという間に辿り着く。
飛行機が動き出して大きな揺れの後に浮遊感を感じる。
ずっと陸路で一筆書きしてきた旅の足跡が途切れた瞬間。
あ。
終わった。
この瞬間、俺がこだわってきた陸路での旅が終わった。
スゥーーっと肩の荷が降りる。
窓の外にロンドンの夜景が広がる。
地球の上を飛んでいく。
目の前のモニターに飛んでいる場所が示される。
俺が駆け抜けてきたユーラシア大陸を物凄いスピードで突っ切っていく。
あぁ、、。
あの苦労はなんだったんだろう（笑）
こんなにも簡単に世界は移動出来るんだな。
翌日の夕方に台湾に着いた。
何時間乗ってたのかな？
なんにしても一瞬。あまりにも一瞬で数万キロの距離を詰めた。
気温も全く違う。
暖かい空気が体にまとわり付く。
目に入ってくるのは日本の看板。
アサヒビールや資生堂。
俺の周りを歩く人は殆どがアジア人で出国審査の出口に並べば大阪からの便に乗っていたであろう関西弁を喋るおばちゃん達がワイワイ騒いでる。
異様な時間が終わった事を更に実感する。
言葉も文化も考えてる事も分からない、そんな外国人しかいない世界から解放されて勝手に顔が綻ぶ。
ニヤニヤ、にやにや、ニヤニヤニヤニヤ、にやにやニヤニヤニヤニヤ。。。
顔が勝手にニヤニヤする。
なんていう安心感！！！
なんていう帰属意識！！（笑）
あ、、、！
グレンフィデック！！！
俺が旅で手にした人生の酒。
グレンフィデックを飲みながら旅を振り返ることができるのはまだまだ先になりそうだけど、これから先の長い人生でいつでもこの旅に戻ってこれる魔法の酒。
あー！！早く日本に帰って酒が飲みたい！
安心して酔っ払うことが出来る世界がもう目の前にある！
台湾！！
どうでもいい！！！！（笑）
なんとなく台湾の街をぶらつく気分にはならなくて最後の２０ポンド札を台湾のお金に替えてそのまま空港から一番近いホステルに向かう。
雨が降っている。
生ぬるい風が吹いてくる。
地球って狭いな。
切ないくらい一瞬で着いてしまった。（笑）
あぁ！早く！！
早く！！行かなきゃ！！
アジアの味が食べたくて一目散に店に入る。
もうここは英語よりも日本語が通じる世界。
英語で店のおっちゃんに話しかけたら日本語で返事が返ってくる。
あぁ、、、。最高過ぎる、、、。
一年半ぶりに心から安心してご飯を食べる。
沖縄のそうきそばみたいな味のするラーメン。
向こうの席に座ってる人もあっちの席に座ってる人も俺と同じアジアの顔。
飯が１００倍美味く感じる。
コンビニに立ち寄ればそれこそそこは日本の味が散らばっている。
もう旅をしてる感覚はゼロ。
明日！
明日、日本の地を踏める！！
世界一好きな街、高槻に、
やっと戻れる！！！！！！！
〜好きな街〜
俺が育った大好きな街。
みんなが暮らしてる最高な街。
あの店もあのコンビニもあの街並みも、
当たり前だった景色にやっと会える。
世界の中に埋もれる高槻の街は
俺にとっては人生そのもの。
あぁ、早く会いたい。
あいつらに、会いたい！
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