いつものように朝になるとドクターや経理の人、そして偉そうな人が患者をひとり一人回っていく。
昨日この時に言われたこと。
ドクター「今日もMRIを撮って病状を確認したけど特に問題はないみたいだわ!明日退院出来そうね!」
………………。
マジっすか????
そして今日。
問答無用に退院のプレッシャーを押し付けられてその流れのまま俺は退院することとなる。
いや、、、。まぁ、お陰様で歩けるようにはなったけどまだ一人で歩くのはシンドイし、頭もフラフラだし、、、。てか、あと1週間くらい入院しておきたいんだけど、、。
入院費も保険のキャッシュレスでいけるし長くいれば長く居れるほど安心なんですが、、??
偉い人「えーと、ジュン。昨日ドクターが言ったと思うが君は今日退院だ。ホステルに泊まっているのかい?通院も必要ないし安静にね。」
いや、、、、安静に出来るような環境はホステルになんかなくてタコ部屋なんですけど、、?
あなたがイメージしてる個室とは程遠い環境なんですが、はい、退院だと…?
経理「書類にサインをお願いします。え?お金?いらないわよ?ん?ここからホステルまでの電車賃がないの??ユーロはある?あら、そう。」
あ、、、ありがとごじゃいます…。病院側でタクシーを用意して下さるんですね。
助かります…。荷物抱えてなんて僕は歩けそうもないです。不可能です。
てか、マジで退院???
最後の病院食を食べる。
手続きが終わったら俺は安宿のドミトリー…。
マジか。。
確かに聞いたことはある。
日本と違って最低限の治療が終わったら病院を追い出されると…。
いや、、、。面倒見てくれる人がいるなら大丈夫なんだろうけど、俺、ひとり。。
しかも、貧乏旅行者が集まるタータンロッジ。
個室??
いやいや、お金ないですから……。
車椅子で病院の下まで連れて行ってもらう。
手厚い看護もここまで。
タクシーに乗ったらもうそこからは自力で生活しなきゃならない。
あ、、、、腕痛い、内臓痛い、頭クラクラする。
雨で濡れた事故当時の服はゴミ袋の中で物凄い異臭を放ってる。
カビ臭い濡れた服を抱えてタクシーの中を浮浪者の臭いで満たす。
哀しい。悲しいぞ!!!
飯とかどうしよ。
あぁ、ポンドの手持ちが3ポンド。
世知辛いぞ!とってもとっても世知辛い!!
せめてまともに歩けるようになるまでは病院にいたかった…!
にしてもこのホステルに何泊すりゃ気が済むねん!!って突っ込みたくなるほど居座っている。
まぁ、安くて綺麗でキッチンもあって駐車場もある。宿としては最高ランクなんだけど、1ヶ月くらいいてるっけ??
意味分からん。そしてこれからまた当分お世話になります!!
ふらふらの状態でチェックインしてふらふらのままドリトリーのベッドに倒れこむ。
もう一つの俺の相棒。
宿に荷物置いておいて良かった…。
ギターも持ったまま事故ってたらこいつまで取り返しのつかない事態に巻き込むところだった…。
「なぁ、一個だけいいかな??俺さ、事故ってもうてハーレーがさ……。」
事故の報告をする。
とってもとっても怒ってる。
そしてその後にいつものように優しく微笑んでくれてる。
弦を摘んで音を出す。
あぁ……、良い音だな。
この左手首の状態じゃ当分の間ギターは弾けないな。
病院を退院したことで無性にハーレーの状態が気になってる。
脳みそがふらふらする。
脳震盪が一番後遺症として残りそうだな…。
警察にハーレーがレッカーされた場所を聞いている。
ゴラスゴーから20キロほど西の場所。
俺が事故った場所付近の業者のガレージ。
明日見に行こう!
状態が気になって気になって仕方がない。
俺のせいで……。
まぁ、謝れば許してくれるよな!とか思いながらギターを触って眠りに着く。
今日は少し体を動かしただけなのに異様に疲れてる。
体がダルい。眠気が半端ない。
でも、退院は出来た。
体は回復に向かっていっている!!
体が損傷した場所を
一生懸命治しているのを感じる。
人間の傷は勝手に治るけど
機械はそうゆう訳にはいかない。
ずっとずっと気になっている。
俺の愛車はまた走ることを夢見てる。