先日載せました「テーマパーク業界における囚人のジレンマ」について、テーマパーク研究がご趣味のある男性会社員の方からご連絡をいただきましたのでご紹介いたします爆  笑ニコニコ

 

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(*この方は研究者ではなく会社員ですので、アカデミックな文責を負いません。)

(*長く考えて遂行された文章ではありません。)

 

 

先日の「テーマパーク業界における囚人のジレンマ」面白かったです。

私が勉強していた頃ブームだったので懐かしいです。

 

さて、囚人のジレンマについては「市場が完全に効率的」という条件がつきます。

その場合、アダム=スミスの神の見えざる手が市場の最大効果を生むのではなく、市場で生き残るため、価格競争が激しくなり生産者剰余が低く抑えられてしまいます。

よって、市場にはある程度の情報共有(談合)が必要になります。

また、汎用品の市場においては製品のオリジナルティが生まれないので、よりその傾向が強くなるのだと思います。

 

ゲームの理論で考えると、最初にUSJが値上げした時に、TDRが値下げしていたらどうだったのでしょうか?

TDRのキャパシティが無限ならば、顧客はUSJからより一層奪うことが出来、多分今回のようなUSJの躍進がある前に叩き潰せたと思います。

 

しかし、それを何故しなかったかというと、規模の大きいTDRの利益は大幅に減少してしまいます。

TDRは実は「ある意味で独占状態」を維持するために最低限の利益の確保に重点を置いていたのではないかと思います。

そして、USJの値上げに便乗してからは純利益が1,000億円となり時価総額も4倍になっています。

TDRは知らず知らずの内にUSJの価格戦略に乗ってしまったのです。

 

ハンバーガー業界(特にマクドナルド)や牛丼業界は不毛な低価格路線で生き残りをかけていましたが、これはハンバーガーや牛丼の市場が伸びている時はいいでしょうが、横ばいになった途端に収益は急速に逓減していると思います。

そうならないようにUSJはTDRが採らざるべき戦略に誘導していたと推測しています。

 

今あまり時間がないので説明が足りないかも知れませんが、USJが「世界最高をお届けしたい」という経営理念を唱えた時にTDRの無差別曲線より上位の無差別曲線にシフトさせる覚悟をしたのだと思います。

 

TDRは6,400円で顧客の満足度を最適にさせ、USJは10,000円で顧客の満足度を最適にさせるという効用を選択したのだと思います。

5,000円しか出せない(テーマパークの価値基準を)顧客には他の遊園地を選択してもらうという戦略に出たのだと思います。

 

今回のUSJの値上げ、TDRの値下げは、本来は5年以上前にやらなければいけなかった戦術をただプライドを守るだけで、一人当たり1,000円の機会損失を生むだけの無駄な戦術と考えています。

 

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(ここからがその方のレポートです。まだ推敲が十分ではなく完成形ではありません。)

(*この方は研究者ではなく会社員ですので、アカデミックな文責を負いません。)

 

 

東京ディズ二―ランドの独占経営の終焉と拡大するテーマパーク市場

 

 

1.商圏の縮小による競争力の低下

 

商圏の理論値を導き出す「ハフモデル」によると、2012年までTDRの年間入場者数2,500万人に対してUSJは800万人程度であり、商圏規模は9:1であった。

これを東京大阪間を400kmとすると、TDR360kmに対してUSJ40kmであった。

このことから、USJは関西地方の1テーマパークに過ぎず、TDRは東北・関東・北信越を含めた地方を全て網羅し圧倒的な集客力を持っていた。

しかしながら、現在はTDR約3,000万人に対し、USJ約1,500万人となり、商圏はTDR280kmUSJ120kmとなっている。

 

ここで、重要なことは日本第3の都市である名古屋市がUSJの商圏に入っていったことである。

しかし、名古屋近郊には世界でベスト20に入る「ナガシマスパーランド」(三重県桑名市)があり、実際USJは関東への商圏を確保する前にナガシマスパランドとの激しい中部地方獲得戦があった。

2012年当時USJ約800万人に対しナガシマは約600万人と拮抗している。

大阪名古屋間を140kmとして、USJ90kmナガシマ50kmとUSJが何も努力しなければ、名古屋の人にとってはUSJは魅力のないテーマパークと言えた。

しかしながら、現在USJの商圏は120kmナガシマ20kmとなりあと1歩で名古屋取りを行うことができる。

因みにTDRとナガシマの250kmと10kmであり、TDRは何の努力をしなくてもほぼ名古屋市の商圏にUSJよりも大きな影響を与えていると思われる。

 

※ハフモデルとはスーパーなどの生活用品を売っている商圏の範囲は、売り場面積の二乗倍になるという理論である。

A社の面積がB社の2倍の場合お互いの距離の割合が4:1となり、3倍の場合は9:1となる。

テーマパークの場合は汎用品ではないが、人気の指数としては入場者数一番にあげられるので、入場者数を按分の数値として捉えた。

 

2.USJのナガシマに対するリーダー戦略

 

2016年USJに「フライングダイナソー」が出来た。

しかし、それとほぼ同じものが、2015年にナガシマに「アクロバット」が出来ていた。

USJのダイナソーは狭いジュラシックパークに建設されており、無理やりに造った感がありありだが、広告宣伝等も早めに打ち、また本来なら見せたくないダイナソーの建築現場をゲストのSNSを利用して拡散させ話題を独占させた。

よって、鳴り物入りでオープンさせたかった「アクロバット」は全国的にあまり有名でないコースターのひとつとなってしまった。

 

ここで、重要なことは2012年までのUSJはミッキーマウスなどのキャラクターに対抗するためにハローキティやスヌーピーなどを取り入れたり、本格的なジェットコースターやナイトパレードの開催など、徹底的に他のテーマパークや遊園地のマネをした。

しかしこの選択は経営戦略上最も正しい選択といえる。

 

この戦略は「フォロワー戦略」といい、成功している企業をベンチマークとして捕え、徹底的に分析しノウハウを社員に蓄積させその能力を短期間に成長させることができる

ただし、ローリスク・ローリターンの戦略は生き残り戦略であるが、この期間を耐えた経営者と社員の努力はとても素晴らしいものがあっといえる。

そして、「ハリーポッター」でTDRに「チャレンジャー」として望むことになるが、その反面ナガシマには「リーダー」としてチャレンジャーに対するブロックをするのである。

しかしながら、リーダー企業であるTDRはチャレンジャー企業であるUSJに対して、それを打ち消す戦略ができずにいる。

 

3.プライスリーダーからの転落

 

2015年までは間違いなくTDRは価格決定に対して独占的な役割をしてきた。

 

(TDRとUSJの入場料推移)単位:円

 

2001

2006

2010

2011

TDR

5,500

5,800

5,800

6,200

USJ

5,500

5800

6,100

6,200

 

 

2012

2013

2014

2015

TDR

6,200

6,200

6,400

6,900

USJ

6,400

6,600

6,980

7,200

 

 

2016

2017

2018

2019

TDR

7,400

7,400

7,400

10月値上げ

USJ

7,400

7,600

7,900

季節変動制

 

(TDRとUSJの入場者数推移)単位:万人

 

2001

2006

2010

2011

TDR

2,204

2,581

2,536

2,534

USJ

1,102

870

750

880

 

 

2012

2013

2014

2015

TDR

2,750

3,129

3,137

3,019

USJ

975

1,050

1,270

1,390

 

 

2016

2017

2018

 

TDR

3,000

3,010

 

 

USJ

1,460

1,500

 

 

 

 

(TDRとUSJ入場者値上後伸率)単位:%

 

2001

2006

2010

2011

TDR

 

17.1

 

-0.1

USJ

 

-21.1

-13.8

17.3

 

 

2012

2013

2014

2015

TDR

 

 

0.3

-3.8

USJ

10.8

7.7

21.0

9.4

 

 

2016

2017

2018

 

TDR

-0.6

 

 

 

USJ

5.0

2.7

 

 

 

 

ここで、独占市場の企業は利益を最大化するために限界費用 = 限界利益になるようにする。

そのため生産量を増加すると価格が下落してしまうため利益が最大限になるように生産量を調整する。

いわゆる消費者にとって常に供給不足が生じる。

また、新規参入ができなくするため、価格も一定の水準に抑え価格の決定権(プライステーカー)を把握し市場をコントロールできる企業である。

実際には電力会社や鉄道事業など公共企業があてはまるが、これらは国や地方公共団体が強く関わっているため自ら価格を決定できる企業には理論的にはならない。

 

しかしながら、TDRは日本という自由経済主義の中で唯一独占企業と言えたのかもしれない。

2010年までは5,000円台となっているが、TDR以外の遊園地やテーマパークはTDRよりも競争力がないため、この価格が上限となった。

TDRは独占企業のため利益は限定されているので、この価格よりも低い価格でしか提供できない競争相手はやはり同じように利益を掛かるコストに合わせて決定するしかないので、最低利潤は確保できるものの、プライステーカーに挑戦できるほどの資力を蓄えることはできない。

電力会社は消費者の所得水準や物価水準を常に意識させられるのと同じことである。

この仮説の証明は2006年に2,500万人に達した時、まだ開設したばかりのディズニーシーが軌道に乗りこのままでは追加投資しなければ顧客満足度が低下してしまうため、価格を上昇させ需要の抑制を行った。

この効果は2011年の値上げまで効力を発揮していたといえる。

反面USJはTDRに対抗し入場料の値上げに追随したが、価格競争力のないUSJはわずか300円の値上げで入場者数が-21%という状況に陥った。

また、この経営は大阪市の職員であったため公共価格と勘違いしたのか、赤字を補てんするために値上げを繰り返し負のスパイラルを繰り返すことになる。

この現象において2010年までのTDRは日本で唯一の完全独占企業といえる。

 

4.チャレンジャーUSJの挑戦

 

2011年にUSJは再び価格面においてTDRに挑戦し、同額の6,200円で並んだ。

この時TDRは-0.1%と価格調整に成功したといえる。

しかしながら、USJは価格を引き上げたにもかかわらず、17%も入場者数が伸びた。翌年においてはさらに価格を引き上げたにも関わらず、7.7%増となりその後9年に渡り入場料を引き上げたが、入場者数は増え続けた。

逆にTDRは2015年・2016年と入場料を引き上げたが、入場者数は3期連続で減少し続けた。

このことは、価格リーダーを奪われただけでなく、価格調整を行う機能すら失われてしまった。

 

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5.TDRの2019年からの設備投資の効果と利益の最大化目標

 

2019年からTDRは新アトラクションや新エリアの開設にあたり2016年から大幅な設備投資を行っている。

このことは独占企業における限界費用と=になるような限界利益を得られるのであろうか。

一度発表された投資計画が白紙に戻るなど、この投資には紆余曲折があったといえる。

その意味においてもTDRは独占企業ではありえないリスクテーカーとなって、市場に乗り込まなければならない状況に置かれたのではないか。

この面においても既にTDR(オリエンタルランド)の経営戦略が大きく変わらざるを得なかったといえる。

また、需要に見合った供給を行わなければ機会損失が発生することを危惧したならば、供給に見合った分だけ需要を調整する独占機能はこの面から見ても失っているといえる。

 

6.株式会社TDRと合同会社USJの投資戦略と情報開示

 

2015年USJの株主である大手投資銀行ゴールドマンサックスが米ユニバーサルスタジオのオーナーである、コムキャストに発行株式数の51%を1,830億円で売却し経営権を譲渡した。

そして引き続き2017年に2,550億円で残り49%を売却しコムキャストの100%子会社となった。

その後2018年に株式会社形態から合同会社形態に変更した。

 

ここで、株式会社と合同会社について述べてみたい。

株式会社は現在の自由資本経済の基本である「所有と経営の分離」を原則とし、不特定の株主から株式市場を通じて資金調達するものである。

また、株主(出資者)の責任は払込資金のみに限定される。

しかしながら、投資家保護の立場から商法・金融商品取引法などで財務諸表の開示を義務付け、年1回以上株主総会を開催し広く株主の意見を聞かなければならない。

この様な形態の企業を公開会社という。

つぎに合同会社であるが、以前の制度としてあった有限会社制度が廃止され、株式会社のように公開会社とするか、資本の譲渡に制限を強く与える閉鎖会社の面を強く打ち出したものである。

また、合名会社・合資会社のように無限責任社員はおらず、全ての投資家は有限責任社員である。

また、資本と経営は分離されず、基本的には全ての社員が連帯して経営を行うものである。

ここで、株式会社の意思決定において財務諸表及び営業報告書において株主や投資家に情報開示や業績の報告をしなければならず、その判断に時間や労力がかかってしまうという欠点がある。

合同会社であるUSJはその様な情報開示の必要がなく、大型の投資に関しても秘密にできるというメリットがある。

よって、情報の非対称性がゲストの驚きや感動を与えるエンターテーメント産業に関しては、合同会社による運営のほうが優位といえる。

 

7.時間的価値を無償にしたTDRと有償としたUSJ

 

TDSの「トイストーリーマニア」オープンしてから6年ほど経つが、今もファストパス(FP)は異常な人気であり、トイマニの取捨選択によって一日の行動が変わってくる。

また、TDLに於いても「プーさんのハニーハント」や「モンスターインク」などは朝一番で入場しないとFPを採ることが困難である。

では、それだけ人気のあるアトラクションのFPとスタンバイ(SB)の割合はどれ位なのか「トイストーリーマニア」(トイマニ)で計測してみた。

トイマニのFPが発券されるのに概ね5秒掛かる。

発券機は8台あるので1分間に96人FPを取得できる。

そうすると1時間で5,760人となる。

概ね1時間程度で終了となるので約5,760人と考えることができる。

次にトイマニが1日でどれだけのゲストにサービスを供給できるかを計測した。トイマニは1回に16人が乗車できる。乗り換えに

1分、次の車が来るまでに1分と約2分で供給できる。

そうすると1時間に30回×16人で480人、14時間で6,720人にサービスを供給できる。

そうすると、5,760/6,720 =85.7% となる。

また、SBで並んでいた「センターオブジアース」で人数の確認を数えたが、先にSBを8人通してそのあとFPを24人通していた。

24/32 =75% なので概ね8割は正しい数値といえる。

では、FPはゲストにとって本当に良いサービスなのか。その日のトイマニの待ち時間は210分であった。

FPは多少の待たされることがあったとしても、基本的に待ち時間は0になる。

よって、210分の待ち時間を2割のSBのゲストで負担していることになる。

 

そこで、FPの効力がどこで無くなるかというとFPとSBが1対1なる50%の割合の時である。

よって210 ×2/5 =84分まで待ち時間が短縮できる。

ただし、待ち時間が0分の人もいなくなる。

むしろFPを少なくするとプレミアムが生まれ、金銭的価値が生まれる。

また、この有料のFPを購入した場合に取得者は午後から効率よくパークを回れる権利も購入することになる。

 

USJはそこにテーマパーク第四の価値である時間を収入源とすることが出来た。

現在のTDRは明らかにFPを乱発しすぎだと思われる。

無料だからとゲストはFPを取得するために朝からパークに滞在しなければならず、また希望時間にアトラクションに乗ることは基本的に出来ないという状況に置かれてしまう。

もし、無料化を続けるのならFPを時間ごとで抽選を行い当選確率を3割程度にするのが適当だと思う。

既にUSJでは「ハリーポッターエリア」入場に行ったものではあるが良いものは積極的に導入することが必要だと思われる。ただし、運営方法について特許権及び実用案登録がなされている(TDRのファストパスは特許申請されている)場合がある。

 

ミッキーミニーミッキーミニーミッキーミニーミッキーミニーミッキーミニーミッキーミニーミッキーミニーミッキーミニー

 

アメーバブログの文字数オーバーにつき続きますプー

この方のレポートに対する私の見解や解説は明日に続きますちゅうすけ