JR北海道の特急列車は、1994年にデビューしたキハ281系スーパー北斗以降、独特のラウンドフォルムである、げんこつスタイルを採用している。

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画像はキハ283系のもの。
JR北海道の特急は運用効率のことを考えれば、先頭車を中間車として使うことも求められる。
更に130km/hの高速走行を行うとなれば、高運転台が必要となってくる。
何より求められるのが、運転士への安全対策。ターニングポイントとなったのは1991年1月、日高線で普通列車(キハ130)とタンクローリーが衝突した踏切事故である。この事故では運転士が両足切断の重傷を負った。
これらの条件を満たすため、高運転台・貫通型の採用となった。既に485系や583系でも高運転台・貫通型は存在するが、これらの“電気釜型”だと雪の付着問題もあり、げんこつスタイルの採用となった。

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キハ281系の模型だが、凹凸が少ないのがわかる。
この対踏切事故対策を施した高運転台形式は通勤型の731系やキハ201系、735系の後退角の大きいスタイルにも踏襲された。

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731系。貫通扉部分が張り出しているのがわかる。

この形状だが、ちょうど2年前の今日、函館線深川~妹背牛間で発生したスーパーカムイ踏切事故で優秀性が証明された。

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事故に遭遇したのは789系1000番台で、先頭部は大破したものの乗客・乗員に死者は出ず、客室も比較的原形を留めていた。事故に遭遇したHL-1005編成は廃車となった。
789系1000番台を除く先頭車には貫通扉へと続くクランク状の通路があり、事故前は前面眺望を楽しむことができる、立見式展望室で鉄道ファンにとっては『かぶりつき』のような存在であった。
事故後の2010年5月以降、この展望室は立入禁止となってしまったのは残念でならない。