全国で小中一貫教育が増加しています。

下記はその資料です。

 

字が読みにくいので、書き出してみます。

 

義務教育学校、H35年度までに倍増文科省調査

 

 文部科学省は95日、小中一貫教育の導入状況調査の結果を公表した。予定を含めた設置数は、義務教育学校が平成29年度48校から平成35年度以降100校、小中一貫型小学校・中学校(併設型)は平成29年度253件から平成35年度以降525件の見通しであることがわかった。

 

 

ここで小中一貫教育とはいえ、資料と上記の文章から読み取れるように2種類存在しています。

一つは「義務教育学校」。もう一つは「小中一貫型小学校・中学校」。

義務教育学校は、義務教育の9年間を一貫して行うものです。

これだけでは、特に変化なしかな?と思われるかもしれません。

小学校高学年から教科担当制の導入、中学校学習内容を小学校へ前倒し、校長は義務教育学校として一人配置。

あくまで9年一貫教育としてのカリキュラムになっている点があります。

 

小中一貫型小学校・中学校はタイプが「一体型」「隣接型」「分離型」と3つあります。

ただ、基本的には小中学校ともに校長を各1名配置できる点があります。

一体型

 一体型とはいえ、中学校区の小学生は生徒の受け入れを行います。一中学校区に一小学校の場合は特に関係ありません。

一中学校区に小学校が複数存在する場合、一体型の場合は一中学校に一小学校が併設されることが多いので、他の小学校卒業生は中学校から入学することになります。ほかの部分は「義務教育学校」に準ずるということになっています。

 

隣接型 分離型

 小中学校はそれぞれ別に設置されています。カリキュラムなどは小中連携されています。

 

【問題点はないのか?】

この小中一貫を実施するにあたって、問題点はないのでしょうか?

良い点は「中一ギャップ解消」「学力向上」といった点が言われています。

良くなることは喜ばしいことですが、特に「義務教育学校」「一体型小学校中学校」に関する問題点を検証する必要があります。

(「義務教育学校」と「一体型小学校中学校」の主な問題点)

入学選抜が行われず9年一貫教育のため、中学校の先取り学習が認められると、学力の差が拡大することが予想される。また、転入生受け入れの際、前校との学習進捗状況が大きく異なる恐れがある。現在以上に習熟度・理解度に応じた指導が求められる。

 

小学六年生は一貫教育では、最高学年ではなくなり、リーダーシップが養われにくくなる。

 

学校が巨大化し、細部まで現場に目が届きにくくなる恐れがある。

 

小学校高学年から、教科担当制となり、定期テスト等が実施される恐れがある。

 

小中一貫校を推進すればするほど、現在の中高一貫校との整合性が取れない。

 

部活と小学校行事が重なり、体育館など学校施設を十分利用できなくなる恐れがある。

 

定期テストを実施している際に、小学生の声が気になって、中学生が集中してテストを受けることが困難になる恐れがある。

 

小学一年生と中学三年生では、同じ生徒指導をすることはできない(7歳と15歳の差は大きく異なる)。

 

小学生は45分授業、中学生は50分授業。この整合性をどのように考えるべきか。

 

最後の4項目は、生徒目線の問題点です。ここには、現場教職員の問題点は含まれていません。

小学校教職員が中学校へ出向いたり、中学校教職員が小学校へ出向いたりと負担は確実に増加します。

また、教員免許の問題。

現在では、中高の免許は大学でも同時取得できますが、小中の免許は同時取得できる大学はまだまだ少ないのが現状です。

免許の問題は、しばらくは猶予措置としてどちらかの免許を所有しているか、またはTTTeam Teaching:チームティーチング)による指導で問題ないとのことですが、後々問題となります。

TT→「チームティーチング」の略称。従来の一人の教員が1つのクラスを担任するスタイルではなく、数名の教師がチームを作って複数のクラスを担当したり、学級担当の教員の進める授業に、その教員とチームを組む他の教員が入り、生徒の習熟度などに合わせて担当教員をサポートしつつ行う授業の形態。チームの中に教員が含まれておれば良い。

 

このように考えると「義務教育学校」「一体型小学校・中学校」にはまだまだ問題点が多いように思えます。

 

人がすることである以上「100%正解」はありません。

問題点をきちんと究明しておくことが大切です。

まだまだ「義務教育学校」「一体型小学校・中学校」については議論するべき余地が多いですね。      

色々と調べていくと「学校統廃合」が目的になる恐れもあるという問題点もありました。

小学校区・中学校区としての生活圏が定着している昨今、人口減少であるからと言って安易な統廃合は慎まなければなりません。

「学校がなくなる」ということで一番困るのは、他でもない「通学している生徒」、つまり「子どもたち」です。

今まで存在した「学校」が消えてしまうという現実を受け入れなければならない「心的ショック」が強いものです。

 

保護者の方や子どもたち、そしてその子どもたちと直接触れ合う教職員の方のためにも、一番安心できる「学校」でありたいものです。