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阪神大震災のときに、被災者の方々が飼えなくなった猫たちの里親募集をテレビの夕方のニュースでやっていたのをみて、その足で猫あずかり所まで電車にゆられて向かいました。
ニュースの効果てきめんで、ほとんど小さい猫たちはもう里親たちにもらわれていったあとで、
一匹だけすごく大きなグレーと白の太った猫が、奮えながら頭隠して尻を隠さずに隅っこにいました。
ネームプレートにふくちゃんと書いてあるグレーの猫ちゃんは、鼻筋が通った凄いハンサムでびっくりしたことを覚えています。
大きな猫だったから最後までもらわれずに残ったみたい。
阪神大震災で飼い主とはぐれ恐ろしい思いをしながら東京の知らない所までつれてこられたふくちゃんを全力でしあわせにしようね、と桂子と話しながらつれてかえりましたが、
うちについた瞬間マイケルやタリンにシャーッと威嚇されたのがきっかけで、ふくちゃんは完全に心を閉ざしてしまったのです。
たくさん怖い思いしたあげく知らない猫たちに威嚇されて、ストレスで吐いたり、翔子や桂子が近づくだけで威嚇し吐いてしまうくらいデリケートになってしまいました。
うちにきてから四年ほど経過し、だんだんふくちゃんも外に遊びにいく楽しさを覚えて、栄子にだけは甘えだすようになった頃。
神様はいじわるだ。
たまたま遊びにでてたふくちゃんは外の猫にひっかかれ、その傷が原因で猫エイズに感染してしまいました…
どうしてふくちゃんが。何も悪いことしてないふくちゃん。たくさんつらい事を乗り越えた矢先でした。
ほかの猫にうつらないように完全に桂子の部屋だけで暮らすことになる。だんだん痩せて力がはいらなくなる。
懸命の介護が、わかったみたいで、毎日桂子が仕事からかえってくるのを一生懸命まっていて、ヨタヨタしながら桂子のところまで歩いてきて甘えるようにまで心をひらいてくれました。絶対にトイレまで自力であるく、ふくちゃんは勇気がある強いハンサムでした。
うちにきたせいで、うちにこなかったら猫エイズにかからなかったかも、とも思ったけど、最後に心をひらき甘えるようになってくれたふくちゃんの想いは優しくつたわってきました。
猫エイズはどんどん蔓延しています。引っかきキズだけで感染してしまうから、猫たちを少しでも
お家で守ってあげたい。
不治の病気なんかをつくる神様がわるいんだ。
〓しょうこ〓