金曜日の夜グリーン・パークにあるロイヤル・アカデミー・オブ・アーツで開催中のHerzog & de Meuron | Exhibition / ヘルツォーク&ド・ムーロン展に行った。スイスのバーゼルで1978年にジャック・ヘルツォークと幼馴染のピエール・ド・ムーロンが開設。紹介文は以下の通り。
 

 40年以上に渡り、スイスの建築事務所は私たちが持つ「建築がどのようなものになり得るか」と言う概念に挑戦してきた。彼らは住宅から病院に至るまで建築の性質を再考。彼らはテート・モダン、ラバン・ダンス・センター、エルプフィルハーモニー(ハンブルグ、独) M+美術館(香港)など都市を変革するプロジェクトをデザインしてきた。400点の作品を展示するこの展覧会は彼らのプロジェクトがどのようにまとめられるのかを知るチャンス。アーカイブ棚を探索し、最新デザインの家具に座り、等身大のモックアップを歩き、拡張現実を利用してチューリッヒの新小児病院を体験しよう。画期的なリハビリ病院プロジェクトに関するドキュメンタリー映画(Beka&Limone監督)もお勧め。(ロイヤル・アカデミーのサイトから翻訳)

 

  会場に入って驚いたのは模型を主とした展示物ばかりで、全てガラスの棚に収まっていたこと。しかも棚の背が高く、最上段は殆ど見えない。青いスタイロフォーム製のヴォリューム模型を含め沢山模型を展示したかったのだろうけれど、逆効果か。いくつか大判の写真もあったが、何しろ「言葉」が全く展示に無い。ヨーロッパの建築家としては予想外だった。というのも、当地では建築家は実作より理論や言葉の方が尊ばれるので、ヘルツォークたちがまさか完全に実践だけとは思わなかったから。

 

  次の部屋は2面の大スクリーンで彼らが設計した建物がどう使われているか、を映し出す。特にスイスのリハビリテーション病院のドキュメンタリーは素晴らしかった。交通事故や突然罹った病で動けなくなった人々が「重力に逆らって」なんとか立ち上がるための努力が延々と流される。重力に逆らうために、プールで歩く練習から始め、車付きの肘で押すサポートや最後には病院の階段を踊り場にある椅子までなんとか歩く…まるで赤ちゃんに戻ったかのような、無力さを感じる人々の声…それでも彼らは若いので、きっと回復できると希望が持てる点が、親世代の老人の場合とは違う。この病院の設計で、恐らく建築家たちは人間の動きについて非常に多くのことを学んだことだろう。

 

 最後の部屋は実物大のモックアップやヴァーチャルリアリティで画面の中の建物内を動くスクリーンなど。全体的には建築家に関する展覧会の難しさを見せつけられた感じ…ヘルツォーク&ド・ムーロン展は2023年10月15日迄。

 

 

棚が高いので最上段は見にくい

 

東京のプラダ青山店(2003)

左側の大スクリーンは3つに割れている

建設中の小児病院の平面図

 

この展覧会に関する短い動画は今の所これだけらしい…