徒歩で行ける地元のCastle Cinemaで子供用夏のドラマスクールをドキュメンタリータッチ描いた『シアター・キャンプ/Theater Camp』(2023, モリー・ゴードン&ニック・リーバーマン監督)を観た。以前National Theatre Live版『カモメ』を観に行った時に映写機の故障で中止になった結果、弁償として自動的にこのインディペンデント系シネマの会員券を貰った。で、今回は土曜日特別企画で全映画3ポンド (=約550円)の招待メールに釣られてこの映画を選択。もう一度観たいと思っていた『オッペンハイマー』は既に売り切れだったし。『シアター・キャンプ』はコメディなのにIMDb評価が7.5と予想外に高得点だったので。さて、そのあらすじは…

 

 再び夏が訪れる。ニューヨーク州北部にある新進気鋭の演劇人の天国と言える演劇キャンプ、AdirondACTS に参加するために子供たちが世界中から集まってくる。不屈の創設者ジョアン (エイミー・セダリス) が発作を起こし昏睡状態に陥った後、演劇音痴のYoutuberでジョアンの息子トロイ (ジミー・タトロ) は、この楽園を運営し続ける任務を背負うことになった。財政破綻が迫る中、トロイはエイモス(ベン・プラット)、レベッカ=ダイアン(モリー・ゴードン)ほか風変わりな教師たちと力を合わせて、3週間後の初日の幕が上がる前に解決策を見つけなければならないが…(IMDbより翻訳)

 

 ギリシャで小学校の演劇教師をしている友人がいるので、子供に演技を教えるってこんな感じなのかな?と思いながら映画を観た。子供相手とはいえ、オーディションから始まる役の決定、演劇理論や音楽理論を教える講義、ダンス、衣装、舞台装置と多岐に渡る講義など本格的。講師陣のエイモスとレベッカ=ダイアンもこのキャンプの出身で彼らの子供時代の映像が所々で挿入される。モキュメンタリー(英: mockumentary)は、映画やテレビ番組のジャンルの1つで、フィクションを、ドキュメンタリー映像のように見せかけて演出する表現手法だが、子供たちが演劇に無知なトロイの話に白ける場面を始め、彼らの歌や演技なども驚く程リアル。しかも「(プロのミュージカル俳優には)3%しかなれないのよ」など厳しい言葉の数々。それでも、子供たちがイキイキとしかも達者に歌や演技に挑戦する姿を観るのは清々しい。

 

  因みに、主演兼脚本のベン・プラットと監督ニック・リーバーマンは高校時代の友人、監督権主演モリー・ゴードンは幼馴染、日陰者の実力者役グレンはベンの婚約者ノア・ギャルビンという、お友達映画*で楽しんでつくっていることが随所に伺われる。息抜きにオススメ。

 

*Mandel, Jonathan (2023) ‘Theater Camp: 10 moments to make theater kids nod in recognition,’ New York Theater,  16/7/2023, accessed on 3/9/23.