ドルストンにある独立系映画館RIOシネマでスティーブン・スピルバーグ監督の『The Fablemans/ フェイブルマンズ』(2022)を観た。映画のタイトルを耳でしか聞いていなかったので、Fable manってどういう意味だろう?と思っていたのだが、映画館でスペルを見て、The+苗字の複数で「一家」という意味だと気づき「フェイブルマン家」という意味だと初めて分かった。一方、イースター4連休はエッセイの採点や学会論文、公募など仕事に追われてばかり。いい加減嫌になって、というかほとんど息切れ状態で、週中だが大学のイースター休暇を利用して昼間の回に行ったところ、偶然コーヒーにお菓子付きの映画チケットが£2.5 (約400円)!たまには良いこともあるものだ。さて、あらすじは…

 

 1952年、両親に連れられ初めて映画館を訪れたサミー・フェイブルマン少年(ガブリエル・ラベル)は、そこで観た「地上最大のショウ」の列車脱線シーンに大きな衝撃を受ける。その後、列車の模型でそのシーンを再現しようとするサミーに、母親(ミシェル・ウィリアムズ)は8mmカメラを与える。以来、カメラで撮影することに夢中になっていくサミー。次第に彼のつくる映像作品は周囲を驚かせるまでになっていくが、まじめな科学者の父(ポール・ダノ)は、あまり趣味にばかり情熱を注いでほしくないと思っていた。そんな中、一家は父の仕事の関係で、アリゾナからカリフォルニアへと引っ越すことになるのだったが…(all Cinema より引用)

 

 流石スピルバーグの自伝的作品だけあって、途中映写機の故障で一旦休止するまで映画に吸い込まれて我を忘れていた。長い映画なのでこの途中休憩でお茶したことが緊張感を和らげ、集中力を上げるのに役立った。それにしても、どうしてイギリスの映写機はこうもよく故障するのだろうか?何と今回で3度目だ。


【以降ネタバレあり】ストーリー的にはピアニストの母親ミッツィが魅力的過ぎて彼女を中心にフェイブルマン一家と父の親友ベニーが振り回される。同時にポール・ダノ演じる優しく頼れる、非の打ち所がない父がミッツィを崇拝しているのが、かえって彼女にとっては苦痛だろうと思われ、この二人の組み合わせは良くないかも、と思っていたら案の定…恐らく実話にかなり近いのだろうけれど、母の恋がここまで子供心を締め付けるとは、観ているこちらが辛くなるほどだった。死別に比べたら、現世での別離は大したことはないと普段は思っているのに。全部観ているわけではないけれど、近年のスピルバーグ作品の中では一番の出来だと思う。

 

日本語版 予告編

 

重要な場面で使われたマルチェッロのオーボエ協奏曲ニ短調よりアダージョ(バッハ編曲)ミッツィが弾くピアノ曲は全て懐かしい曲ばかり。