コヴェント・ガーデンのロイヤルオペラハウスでこの冬最後の公演だった『くるみ割り人形』を観た。一体何年ぶりだろう思うほど久しぶり。最後に観た『くるみ割り』は確かイングリッシュ・ナショナルバレエの公演でその冬はロイヤルバレエの公演がなかったのにどうしても観たくて一人で行ったところ、舞台装置や振付が違って戸惑ったと記憶している。結局帰宅してからYoutubeでロイヤルバレエの動画を見直したのだった。今年はたまたま秋に日本に住む友人がふと「ロイヤルバレエのくるみ割り公演今年も無いの?」訊くので、調べたところ発売から間もなかったのか、1月は券がまだ沢山残っていて、慌てて視界制限ありだけど、安価なアンフィシアターの4階席(11ポンド、約1700円)を2枚確保。イタリア人の友人が「まだロンドンでバレエは観たことが無い」と言うので、「それならロイヤルバレエのくるみ割りが素晴らしいのでお勧め」と一緒に行くことにした。

 で、今晩行ったところ、友人は高所恐怖症で前に乗り出して観るのが怖いと言う(苦笑)。一体何が起こるか分かったものではない。「10分位で慣れた」そうで良かったけれど。しかも、ロイヤルオペラハウスは舞台の奥行きが10数メートルと深いので、何と背景にあるクリスマスツリー🎄が全く見えないではないか!つまり主人公クララが小さくなることを表現する、クリスマスツリー🎄が巨大化する場面(動画参照)も見えないということで、劇中最高のスペクタクルが見えないとは…さすがにがっかり。やはり『くるみ割り』だけは正規料金を払って2階か3階席で観るのが正解かも。

 
 今回の公演で気になったのは、キャスティングのパンフレットが廃止され、オンラインで見るよう指示されていたこと。経費削減らしい。その上、出演するダンサーの数が減ったらしいこと。昔アラビアの踊り、ロシアの踊りや中国の踊りはそれぞれ4人だったと記憶しているが、今回は全て二人で踊っていた。最後に全員で舞台に出てきたとき、コールドも含めた人数が少なかったようだ。パンデミック後に団員数を減らしたのだろうか? 金平糖の精役は日本人ダンサーの佐々木万璃子さんでエレガントで丁寧な踊りだった。ただ、相手役プリンスのジョゼフ・シッシェンさんとあまり背の高さが変わらないので、彼女を持ち上げるのが大変そうに見えた。昔、吉田都とジョナサン・コープのdvdを友達が見せてくれたとき、体格がかなり違うせいもあって、吉田さんが鳥のように軽やかに肩に乗せられたのが印象的だった。体重が無いかの如く。残念ながらYoutubeには佐々木さんの動画がなく、DVD/映画化されたばかりの金子扶生さん主演『くるみ割り人形』がロイヤルバレエ公認の動画だったので添付する。金子扶生さんは大怪我の経験からかバレエが踊れる悦びが伝わってくる生き生きとした踊りが素敵なバレリーナ。
 
 バレエは総合芸術で、生演奏の音楽、目の前で繰り広げられる踊り、輝く衣装、大掛かりな舞台セットで夢の世界に連れて行ってくれる。「また来年も『くるみ割り』観たいね、今度はもっといい席で!」と友人と話した。

舞台には近いのだが奥が見えない席

見えなかったクリスマスツリーのシーン

ロイヤルバレエの『くるみ割り人形』から、金平糖の精は金子扶生さん 昨年末映画化されたばかり