Channel 4のアーカイブでウクライナ大統領ウォロジーミル・ゼレンスキー主演のコメディドラマ『Servant of the People/国民のしもべ』(2015)を観ている。第1話を除き大体30分番組で1シーズン12話が4シーズン。高校の歴史教師がひょんなきっかけでウクライナの大統領に選ばれて、国に蔓延る不正と戦っていく話。今のところ視聴可能なのは第1シーズンの第3話まで。ゼレンスキーは英国発のダンスコンテスト『Strictly Come Dancing』のウクライナ版優勝者で、英国映画『パディントン』で主演のパディントン熊役の声優としても知られている。彼は英国コメディグループ、モンティ・パイソンのファンだとか。そのせいか、ドラマはどことなく昔の英国コメディを見ているような懐かしい感が漂う。背景のウクライナの街が風光明媚な上に見慣れないので新鮮だし、人々も全体的に若くて明るい。私服で蝶ネクタイをしている生徒が多かったり、時々民族衣装の子供たちや若者も登場するので、ウクライナの風習が見られるのが面白く、特別なローカル番組を観ている感が半端ない。爆撃されて瓦礫だらけの現在の悲惨な状況が余計に気の毒。こんなに素敵な街だったのに。あらすじは…

 

 ヴァシル(ウォロジーミル・ゼレンスキー)はバツイチで実家に居候中の高校の歴史教師。ある日同僚教師を相手に彼がウクライナの汚職政治について冒涜的な暴言を吐いた状況を生徒がスマホで撮影していて、YouTubeにアップロード。動画は一夜にしてインターネットでセンセーションを巻き起こす。生徒たちは、彼の希望に反してウクライナの大統領選挙に彼を立候補させるためにクラウドファンディングキャンペーンを開始し、最終的には彼らの組の担任をウクライナの新大統領として勝利へ導く。着任後、ヴァシルは新たな責任に混乱するが、徐々に大統領の任務に慣れて、政府の腐敗を取り除くことを実行していく。(英語版ウィキペディアより翻訳)

 

 まさにドラマをなぞる形で2019年の大統領選では得票率70%以上獲得して歴史的勝利を飾ったゼレンスキー。所属政党の名前は「国民のしもべ」だ。テレビ界出身だけあってSNSの扱いが上手く戦場でも度々キエフの建物を背景に国民に直接語りかける。昨日は英国議会でリモート演説をして、スタンディングオベーションで拍手喝采を受けていた。同じロシア語なのでロシアでもこのドラマは人気が高かったとか。ロシア兵もこんな人好きする俳優出身の大統領が率いる隣国を相手に、さぞ戦いにくいだろう。早く戦闘を止めて欲しい。

 

 それにしても、BBCニュースを見て驚くのはウクライナの政治家たちが若くて女性議員も多いらしいこと。例えば副大統領は女性で38歳、現地で砂袋の山で扉を守っている室内からリモートでインタビューを受けていた。また、国会議員が自宅から中継したが、彼女は多分30代。曰く「62歳の私の父は民間兵募集年齢(18歳から60歳)を超えていて歩くのもやっとなのに、武器を持って戦うというのです。「お父さん歩けないのにどうして?」と聞いたら、「歩けなくても匍匐前進はできる」と。」お父さんが62歳だったら彼女はせいぜい30代後半だろう。日本と違ってイギリスでは一々年齢を表示しないのが普通なので。ロシアとの協議に臨んだ外務大臣は男性だけれどどう見ても40代か。もしかするとゼレンスキーの仲間でキエフのテレビ関係者かもしれない。ゼレンスキーだってまだ44歳、英首相のボリス・ジョンソンは57歳。イギリスの政治家も日本に比べれば若いけれど、ウクライナより平均で10歳以上は年上だろう。一体日本は?

 

 

シーズン1 第1話日本語字幕付がYoutubeで見つかったので追記。

 

日本語字幕付BBCニュース