今年は大学で3年生のモジュールが月曜日になってしまったため、どうしても土日が講義やセミナーの準備で潰れてしまう。でも29日(月)は遠足で展覧会見学が予定されているので、「久々の休み!」と思った途端風邪をひいて寝込んでいる。ただ運よく今週末3日間はYoutubeのアニメウィークエンドで新旧様々なアニメを課金なしで放映中。せっかくだから久々に何もしないで、Youtube三昧の週末もいいかと思った。で、たまたまアニメウィークエンドでブラックジャックOVA『葬列遊戯』を、手塚プロダクション公式チャンネルで『サンメリーダのふくろう』(両方とも出﨑 統監督)を観た。出﨑監督と言えば、富野由悠季や押井守など他の有名監督がお手本にした「出﨑演出」で名高く、『あしたのジョー』を初めとして『エースをねらえ』『スペースアドベンチャー コブラ』、『Astro Boy 鉄腕アトム』他、数々の名作アニメ番組や映画を創作。どの作品だったかは忘れたけれど、その昔映画館でブラックジャックOVAの二作品同時上映を観た記憶もあり、原作に負けない面白さが印象的だった。今回観た中では特に『サンメリーダのふくろう』が1時間弱の作品なのに、映画を見たかのような重さで忘れられない。そのあらすじは…

 

 ピノコは「ご褒美」でブラックジャックとヨーロッパ旅行中。列車で知り合った英国人青年レスリーが発作を起こし、背中の銃創から出血するが、ブラックジャックはその背中に肉眼では分からないほど芸術的な手術痕を見つける。その優れた技から「会ってみたいんだ、その人に」とブラックジャックは熱望する。レスリーの発作が心理的な影響によって引き起こされることと、彼の幻想や夢の中に出てくる女性が歌う子守唄から、内戦が続いている北の国に秘密があるとブラックジャックは突き止める。しかし、3人揃って現地に向かったところ予想外の出来事が待っていたのだった…

 

 『ブラックジャック』はこの作品も含め、実写では不可能というか、嘘っぽくなってしまうと思う。アニメだから紛争跡地の背景もそれらしく見えるし、情報が減る分伝えたいことが凝縮される。ネタバレになるが臓器移植をするとドナーの記憶が伝達されるという説、そしてレスリーにPTSDのような症状が現れることが物語の肝。PTSDは実際に紛争地域から逃げてきた学生たちのエッセイに浮かび上がってくるので、毎年衝撃を受けている。彼らにとって、自分が経験した現実とかけ離れた「普通に暮らしていくこと」がとても辛いらしい。学期の途中でその辛さに体調を崩して休学してしまう学生もいる程だ。こういう実例を見ているので、この作品の深みが余計に素晴らしく思える。公式チャンネルは28日まで視聴可能かもしれないけれど…オススメ。

 

 

予告編

 

OVA本編、ピノコが漫画より大人っぽいけれど、双子の姉の年齢を考えたら当たり前かも…