ウェールズ出身の友人がロイヤル シェークスピア カンパニー出演のお芝居『Comedy of Errors/間違いの喜劇』(字幕付)のチケットを取ってくれたので、ほぼ2年ぶりにシティに近いバービカンに行った。余りに久しぶりだったので、道に迷ってしまい事前に開かれた友人が所属するNGOのパーティに遅刻…という散々な出だしだったが、2年半ぶりの観劇は流石に嬉しく、「コロナ禍でこういう世界に飢えていたのだ」と実感。今は旅行者が少ない筈なのに1,162席あるバービカンシアターがほぼ満席なのにも驚いた。さて、あらすじは…

 

 シラクーザの商人イージェオンがエフェソスを訪問中に両国が戦争を起こしたため、「シラクーザ出身者は身代金を払わない限り全員死刑」と宣告される。イージェオンにはアンティフォルスという名の双子の息子たちがいるが、ずっと昔に妻と共に片方の息子とは生き別れになっている。双子の息子たちには子供の頃からそれぞれ双子の召使いドローミオが従っている。一方、アンティフォルス(弟)はドローミオ(弟)と共にエフェソスを訪問して、街の人々が自分たちのことをよく知っているらしいことに気づいて混乱する…

 

 双子が船の難破で別々になってしまう展開は『十二夜』とよく似ている。シェークスピアは双子の話が好きらしい、と思っていたら、実際に彼の子供たちは男女の双子だったとか(ウィキペディアより)。ただ双子の息子たちと双子の召使いたちの名前が同じでは余計に混乱する。字幕では「シラクーザのアンティフォルスとエフェソスのアンティフォルス」、「シラクーザのドローミオとエフェソスのドローミオ」と分けているけれど。双子同士は同じ服を着ており、役者さんたちの顔立ちは似てなくても背丈が同じくらいなので気にならない。劇自体は殆どドタバタコメディなので、台詞以外の動きだけで十分笑えるのだが、いつもながらシェークスピアの台詞は古語も入ってくるので難しく、字幕があっても周囲の笑いについていけないのがちょっと残念。スタンドアップコメディもそうだが、英語理解の中ではお笑いが一番難しいと思う。でも、こんな風にこのまま少しずつ「かつての日常」が戻ってきてくれることを祈るばかり。